小学校お受験のミカタっ!

アラフォーパパ、私立小あれこれ体感中

Vol.1 私立小を受験する動機とは

『小学校お受験のミカタっ!』にお越しくださり、どうもありがとうございます。

 

このブログは2019年に私立小学校を受験した経験をもとに、アレコレ申し述べようと思って始めました。僕は教育関係者でもなければ私学盲信パパでもない、どちらかというと子どもの教育にあまり熱心ではなかった部類、いわば受験の素人。

 

ゆえに何事も手探り状態の中で苦労したわけですが、だからこそ感じた素朴な疑問、苦労や葛藤について、できるだけ具体的にお伝えできればいいなと思います。現在、年中・年長になる幼児がいらっしゃるご家族、そして実際に小学校受験に向かって真剣に取り組んでおられる皆さんにとって、少しでも参考になれば幸いです。

 

1稿目となる今回は、わが家なりの受験のきっかけを紹介しつつ、子どもを私立小に行かせる動機って何だろう?ということについて書きます。

 

 

< 起点にして基点となるwhyとwhat >

受験を決意されるタイミングって、各家庭ごとに様々だと思います。ウチが通ったお教室に限って言うと早い子で年小からバリバリ、大半の子は年中にあがったタイミングで教室に通い始めたというケースが多かったですね。わが家の場合は年中の終わり頃、2月から通い始めました。入試が9月実施だったので実質8ヶ月間。それ以前から通信教育をやったり、めばえ教室に通ったりしていましたが、お受験のための学習という意味でアクセルを踏んだのはこの時期。のんびり発進ですw。

 

最初の頃は周りの子たちと比べると出遅れ感たっぷりで、焦りまくりでした。追いつけモード全開の当時は「どんな勉強や経験をさせるか(= how)」で頭がいっぱいで、受験の動機を掘り下げる余裕なんてなかったというのが正直なところです。もちろん、きちんと夫婦で話し合った上で受験を決心したわけですが、1回決めたらアレコレ悩むのはおしまい、あとは突き進むのみという感じで毎月こなしていった観が強いかなー。

 

日々大量のプリント消化に明け暮れ、模試の結果をみては焦燥感にかられ苦手克服の対策講座と問題集を追加投入。それでも当の本人のやる気と成績はなかなか上がらず怒鳴りながら机に向かわせる日々、次第に親も子も疲弊。終いには「受験なんてするべきじゃなかった!」と爆発しそうになる妻をどうにかなだめる。そして、“日々大量の~”のくだりに戻る。この無限ループ(笑)。

 

いま思えば時々立ち止まって、『そもそも何のために、こうして頑張ってるんだっけ?』と頭を整理していれば、もう少し精神的な安定を得られていた気がします。

 

「受験を決めた動機(=why)」「私学教育の何に良さを見出したのか(=what)」の2点についてもっと掘り下げるべきだったなーと。特に願書提出や面接対策の段になって、言語化するのに苦労しましたw。

 

< なぜ受験するのか >

ところで一般的には、どういったお考えのもとに受験の思いを固められるものなのでしょう。以下、代表っぽいモノを並べて分類してみました。超主観ですがw

 

  • 将来の受験勉強をスキップさせたい派

思惑> 中学受験や高校受験、もしくは大学受験を回避させたい。12年もしくは16年一貫教育を受けさせたい。大学受験よりは競争倍率がマシな小学校の段階でエスカレーターに乗り込ませたい、など。

 

このタイプに共通するのは、将来を見据えて教育プランを早々に立て然るべき軌道に乗せたい!、ということではないでしょうか。受験勉強にとられる時間を別のことに存分に充てさせてあげたいとお考えの家庭もいらっしゃるかと。

 

  • 創立の思いや教育理念に共感している派

思惑> その学校が掲げる方針に賛同している。自分自身が卒業生(系列の大学も含めて)もしくは上の子が在校生で、学校のことをよく理解している、など。

 

自分の出身大学に誇りをもっているお父さんお母さんにとっては、大学付属の小学校に志望するというのも大きな理由になるかもしれませんね。ましてや自身や家族がその小学校の卒業生ならなおのこと。

あと、宗教校の受験者もこういったタイプが多いでしょう。

 

  • より充実した教育環境・設備を希望する派

思惑> 施設が綺麗で新しくて教員の配置数も手厚い、充実した環境下で学ばせたい。公立にはない独自カリキュラムを受けさせたい、など。

 

そりゃ誰だってピカピカの最新設備が整っている方がいいに決まっているでしょうけど、公立と私立では費用面の条件が大きく異なっているわけで、単純に比較しても仕方ありません(お金の話はひとまず割愛、別の機会に取り上げます)。大事なのは中身と価格との見合いにおいて、価値をどう評価するか。

 

たとえば個人的には今回のコロナ渦の状況下、娘が通う学校の臨機応変な対応には非常に納得感を見出しています。オンライン授業に必要な機器と環境を整え、柔軟にカリキュラムを修正しながら休校中でも本来あるべき水準を維持されていました。

また、今年から公立でも英語授業がスタートしましたが(3年生以上)、やはり先行して実践してきた私学に一日の長を見出す方も多いのではないでしょうか。インターナショナルスクールは最たる例でしょう。

 

  • ブランド信仰派や公立軽視派

思惑> 親のエゴ、見栄、優越感からくる心理的な動機。もしくは、公立に対して根拠のない不安や不信感を抱いている、など。

 

まぁこの理由だけで受験する人はいないと思いますが、、、

 

 

ざっと挙げましたが、もちろん他にも様々な動機が存在すると思います。どれが正解でどれが間違いということはないでしょうし(4つ目は論外として)、答えは複数あるかもしれません。受験する・しないに関わらず、親はわが子に対し「将来こんな大人に育ってほしいな」という願いや希望を抱くわけでして、受験の動機が自分たちの描く将来像にちゃんとつながっていれば、それが正解なのだと思います。

 

問題があるとすれば、そのための手段として私学教育がベストなのか、このマッチング部分です。つまり前出のwhatに該当する部分。

 

根拠もなく私立を過大評価(または公立を過小評価)してしまっていないか、僕自身けっこう自問しましたね。公立ではダメなの?と。

最初から私学一択!という家庭は別ですが、わが家のように進学についてゼロベースで検討する場合、ここが一番大きな分かれ道ですね。

 

そもそも私立と公立を一元的に比べて良し悪しを議論しても不毛でして、どっちにも一長一短あり、得手・不得手があります。当然ですけど。どちらの利点をとるのがウチに適しているのか。僕はベストよりベターな解を見つける姿勢を心がけました。

 

最初の頃は圧倒的に知識不足でしたし、誤解や思い込みも多かったのですが、可能なかぎりたくさんの学校の資料を取り寄せ、説明会や公開授業などに参加するにつれて(公立小の授業も見に行きました)理解が深まり、結果的に自分なりの尺度が磨かれたと感じます。

 

ただ、このように走りながら考え決断するのであれば、ちょっとスタートが遅かったかなという後悔はありますね。。。学校研究は早い方がいいですよー。

 

< わが家の場合 >

さて、ここまで大層なことを述べてきましたが、ではウチはどういった経緯で受験するに至ったのかと申しますと。

 

きっかけは移住問題。僕が新しい仕事を始めるに伴い、東京から大阪へと職場が移ったことに端を発します。仕事というのが家業に関することでして、もともと長男の僕が、祖父が一人でやっている事業を引き継ぐという既定路線が(半ば勝手に)敷かれていたのですが、祖父の逝去によっていよいよ執行猶予が解け、東京でのリーマン生活に終止符を打ち大阪の実家に戻らなければならない状況となりました。

 

動揺したのは、江戸生まれ江戸育ちの妻。

「やっと幼稚園にも慣れてきたのに、いきなり見知らぬ浪花の地に移り住むにはまだまだ心の整理がつきませぬ、わらわは行きませぬ。」

「どうしても行きたければ其方独りで行けばよいのでは? これまで通り参勤交代しなされ。」

ということでひとまず住まいはそのまま、僕だけ大阪と東京を往来する東西半々生活を続けました。

 

しかし平穏は束の間。半年ほど経ったある日、今度はしびれを切らせたウチの母がこう言い放って事態は緊迫化していきます。

 

「そろそろ大阪に移り住んだ方がええんちゃうのん!?」

「早く●●ちゃん(=うちの子ども)と一緒に住みたいわ!」

「その方が家賃も浮くやろう!? よっしゃ、リフォームしよか!」

 

実家の半分は祖父母の住まいでして、そこが空いていたのです。同居同然となるこの要望が唐突に宣言されたことで、問題は新たな次元へ。

 

ウチの母は典型的な大阪のオバチャン。こちらのペースなんてお構いなしにゴリゴリ攻めこんできます。そうなると妻は

「百万歩譲って浪花に移住したとして、いきなり二世帯同居は厳しいでおじゃる。良い嫁姑関係を維持するには、味噌汁の冷める距離を保つのが理想でおじゃる。」

と、のたまふわけで。加えて、ウチの地元小学校が学級崩壊しているとの噂を耳にして(このご時世でも児童数が増えていて先生の数が追いついておらず、実際に保護者の中には先生のキャパオーバーを心配する声が挙がっていた)、妻の腰はテトラポッドのごとく重くなる一方。

 

妻とウチの母はいたって良好な関係でしたが、それは大阪と東京という距離が奏功していた側面もあると思います。やはり二世帯同居なんてことになれば、ただでさえ気遣いするタイプの妻がのびのび暮らすことは難しくなるのが容易に想像できます。一方、頑なに真正面から同居反対の姿勢をとると、僕自身は母にズケズケ言えますが、それが母からすれば妻に言わされていると邪推しかねず、後々禍根を残す可能性も否めない。。。

 

こういった板挟み状態の中で僕が出した解決策が、私立小受験です。これにより、多少は妻の不安が和らぐことが期待できました(まぁ大阪に対する偏見でしかないのですが、東京育ちからすれば異国の地へ旅立つが如く受け止めていて、説得できる自信はありませんでしたw)。

 

僕としても大阪~東京の往復生活が永遠に続くのはゴメンですから、何とか妻にはその気になってもらいたい。子どもともっと一緒に過ごしたいですし(←これが一番の理由)、移動にかかる余計な出費も減らしたかったですし。また、母に対しては通学の便を優先して住む街を選びたい、という大義名分ができます。

 

まさに三方よし! 完全に大人の事情にもとづいた次善の解! 見事に打算的ですね(笑)

 

もちろん子どもの将来を想う視点もありましたよ。前述の分類でいうと2)学校創立の思いや教育理念に共感している とか、3)より充実した教育環境・設備を希望する など。ただ、それは後から強まった動機。受験を決めてから色々と調べたり学校研究する中で膨らんでいきましたが、家族平和を想って突き動かされるようにして決意した、というのが僕の受験の出発点ですw

 

小学校受験の意思決定者は親 >

こうして始まったわが家のお受験。動機の良し悪しはあまり考える必要はないと思いますし、子どもの将来と小学校受験の意義を十分に考えた上での選択であれば、胸を張って前進あるのみです。僕自身、小学校受験に対して後悔の気持ちはまったくないですし、日々成長を温かく見守りながら、受験して良かったとしみじみ思います。また、受験を通して親である自分たちもたくさんの学びや気づきを得たことも大きな財産です。

 

 

最後に一つ言いたいこと。

それは小学校受験は親が意思決定者ということです。受験というのは中学・高校、そして大学に進むにつれ本人の意思が優先される度合いが増していくものですが、小学校に関して言えば受験の要否から志望校選びに至るまで、完全に親が決めます。

なので成長したわが子にいつか受験理由を尋ねられた時に、胸を張って答えられるようでありたいものです。まちがっても自分のミエのためよウフ、とは言えませんw。

 

ではまた~。