小学校お受験のミカタっ!

アラフォーパパ、私立小あれこれ体感中

Vol.5 父親よ、本気出せ!~お受験で果たす役割~

前回の記事では「幼児教室を有効に利用すべし!」と熱弁したわけですが、とはいえやはり大切なのは家庭における親のスタンス。その中でも、父親の役割について今回は語りたいと思います。お母さん達と比べると、子どもとの日常的な関わりがどうしても少なくなるお父さん。しかし、受験の成否を決める重要な役割を担っているといっても過言じゃないっ!

 

< 母親に偏りがちな負担 >

実は僕もその昔、小学校受験を経験したことがあります(私立ではなく国立。あいにくご縁はありませんでしたw)。それほどの頻度ではなかったものの軽く幼児教室に通い、それなりにペーパーやら行動観察やらの対策を施された訳ですが、記憶の中ではお勉強から教室の送迎まですべて母が面倒を見てくれていました。当時3歳になる弟がいましたが、もちろんその世話もしつつ家事も併行しながらの受験準備でした。父はお勉強には一切関与しませんでした(これは小中高一貫しての話w)。

うちの場合は“記念受験”の要素が色濃く、あまり熱心に対策に取り組んだわけではなかったと思いますが(←言い訳)、もし本腰を入れてガッツリ受験に挑んでいたら母は相当に苦労しただろうことは、受験を経験した今は容易に想像できます。

 

小学校受験は、母親の献身的な努力が合格を勝ち取るエンジンになることは事実だと思いますが、母親のマンパワーだけで乗り切れるほど甘くないと思います。子の勉強をみるという作業は、とにかく気力を消耗します。自分から問題集をめくり、難問に直面してもくじけないで取り組み続けることができる。そんな子なら話は別ですが、おそらくほとんどの家庭では大なり小なり悪戦苦闘を繰り広げることでしょう。褒めたり叱ったりを反復し、昨日できたことが今日できないなんてこともザラ、それでもまた立ち向かう。これの繰り返しなわけです。

 

また、対策は机上だけでは済みません。季節行事に触れたり、外に出て運動し体力づくりに励んだり、五感を使って好奇心や想像力を高める経験をさせたりと、多岐にわたります。

 

さらに、お勉強のことだけに気を取られるわけにもいきません。志望校を研究したり、お受験情報を収集したり。年長の春ともなると説明会もさかんにスタートします。中には定員に上限のある体験授業もあり、エントリー時期をしっかり押さえておかなければなりません。

 

言うまでもなく、上記のことは普段の家庭の切り盛りとかけもちでやるわけで。加えて、ワーママであればもちろん仕事もこなさなければなりません。そりゃ悲鳴をあげたくなるほど多忙になります、身も心もクタクタ。こうした忙しさからくる精神的な不安定さは子にも感染し、そして増殖するものです。子のために良かれと思ってやっていることが、逆効果をもたらしかねません。

 

このように、お母さんにかかる負担は想像を超えるものです。お父さんが満身創痍の妻に気づかず、お受験準備のほとんどを任せっぱなしにしてしまったら。。。

長い道程のどこかでお母さんの心が折れて頓挫しかねません。

 

 

< 父親の役割とは >

お受験は子ども1人でも母親1人でもなく、家族が一致団結して挑む騎馬戦のようなモノだと思います。お母さん1人で子を担ぐ“肩車”では途中で崩れ落ちてしまいます。お父さんの協力が不可欠なのです。

 

では、お父さんはどのような役割を主に担うべきなのでしょう。家庭ごとに状況は異なるでしょうが、僕が意識したことはこんな感じです。

 

・受験および子育て全般を妻任せにしない

 

・遊びやおでかけの企画を立てる

 

・受験準備の段取りと会計まわり全般を引き受ける

 

・妻のコンディションを気遣う

 

 

うちの場合は、1ヶ月のうち半分ほどは単身赴任状態(大阪)だったので、僕の不在期間は妻に相当の負担がかかったと思います。実際、久々に家に戻ると「これはヤバい」と感じたことも何度かあります(笑) ですので、せめて家に戻っている期間は全般的に子どもの勉強をみましたし、教室の送迎や先生との面談、絵本の読み聞かせや寝かしつけも積極的に引き受けました。子と母親の気分転換も兼ねて週末にはおでかけしたり、遊びの計画を立てるのも僕の役割でした。

 

僕の仕事が自営業&在宅ワーク中心だったので、日中から専任家庭教師ばりに子の勉強をみることができたわけですが、家庭によっては母親が勉強をみるケースの方が多いと思います。その場合は、父親は積極的に家事全般を受け持つのもいいですね(そもそも受験とか関係なく、家事は分担すべきでしょとお叱りを受けるかもしれませんが!)。

 

また、夕食時には会話の機会をたくさんつくって、僕が留守の時に起きた出来事や幼稚園での日常のことなど、娘や妻の話をしっかり聞くことを心がけましたね。会話のキャッチボール1つで、娘の些細な成長を客観的に把握することにつながります。日常ベッタリ傍にいるわけじゃない分、お父さんの方が冷静になれる側面があるかもしれません。実際、面接対策で子の長所を考えるにあたっては、一歩ひいた視点は有用だったと思います。

 

家を離れている時にもやることはたくさんありました。うちの場合は東京在住からの関西お受験なので、きちんと段取りを考えないとムダやムリが生じてしまいます。

春の時点ではまだ志望校を絞りきっておらず、5校ほどピックアップしていたわけですが、各校とも説明会2回+体験授業モノ1回の計3回ほど参加すべき催しがあったので、そのスケジュール化に頭を悩ませました。重ねられるものは重ね、僕だけの参加で済ませられるものは1人で行って見聞きしたことをメモにして妻と共有するようにし(または1回目は僕が参加し、2回目を妻が交代で参加するケースも。この場合は僕が東京に戻り留守を預かります)、子も参加させるべきものは宿泊先や移動の手配もしなければなりません。夏には関西校の特別講座を受けるため3人で合宿ヨロシク大阪に滞在したり。

こういった面倒なスケジューリングは、日常の家事と子の世話から切り離されたお父さんの方が集中して粛々とやれる環境にあるんじゃないでしょうか。段取り業務は仕事でも慣れている方も多いでしょうし。

 

あとは、4.の『妻のコンディションを気遣う』が重要なのは言うまでもありません。妻は僕に遠慮してか(?)、ちょっと風邪をひいたくらいで僕を呼び戻すことはしませんでしたが、きっと父親不在の日常生活はかなり心細かったと思います(さすがにインフルエンザに罹患した時とギックリ腰になった時は即召喚されましたw)。

悩みや愚痴を聞いてあげるだけでも全然違ってきます。父親は何もメインプレイヤーを目指す必要はなく、母親と子のそばで精神的な支えとなり一家を守る、サポーターのような役割なのかもしれません。

 

 

< 父親の存在感はけっこう大事 >

実際、父親不在というのは試験にも少なからず影響するようです。たとえば、過去問題の一例を挙げると

「家族そろって夕飯を食べている様子を描いてください」

「家族でピクニックを楽しんでいる絵を描いてください」

といった出題に対し、お父さんが登場しない絵を描く子どもが意外と散見されたと言います。

 

「お父さんのお仕事について教えてください」

「家族で出かけた場所で一番印象に残っているところはどこですか」

「最近、お父さんから褒められたこと、叱られたことは何ですか」

 

面接時にはこの手の質問が子どもに問いかけられますが、フリーズしてしまったり「知りません」と答えたりすると、教育に対する父親の関与・関心の薄さが露呈しかねません。

父親への質問でも

 

「週末お休みの時はどのように過ごしていますか」

「子育てで心がけていらっしゃることをお聞かせください」

「お子様が成長したなと実感したエピソードを教えてください」

 

といったことがしばしば聞かれます。面接で志望理由を尋ねることは「お約束」みたいなもので、当然こちらも十分な対策を練ってのぞむわけですが、子どもと普段どのように接しているのか、上記のような質問で父親の教育に対する当事者意識や姿勢が浮かび上がってくるものです。

 

一方で、ただ単にわが子を溺愛しまくってることしか面接官にアピールできないというのも難あり、です。子どもとしっかり向き合い、自立を後押しするような親子関係を築いてきたかどうか。面接官はそこを知りたいはずです。

 

受験準備を始めると母親は怖い存在になる一方、父親はつい甘やかしてくれる存在に陥ることがあるようです。でも、ムチ役を母親に押しつけて自分はアメ役の美味しいところだけ得るのは虫が良すぎというもの。たしかに献身さのあまりお母さんの感情が暴走した時にはそっとブレーキをかけたり、子どもをケアする必要はありますが、躾けの厳しさはきちんと夫婦で公平に分かち合うべきだと思います。

 

 

< 家族の団結力 >

わが家ではお受験の言い出しっぺということもあり、わりと僕が率先して調べたり考えたりすることも多かったのですが、かと言って僕が特段よく関与するタイプのお受験パパだったかというと、そうでもないと思います。必死にやってるご家庭は、どこもお父さんが全面的に関わっているという印象。

通っていた幼児教室ではよくお父さん達を見かけました。平日は少なめですがそれでも一定数いらっしゃいましたし、週末ともなるとお父さん率はかなり高かったです。皆さん先生に質問したりメモをとったりと、とても熱心に取り組んでました。

 

入学後もそう。教育理念に賛同し、学校運営に積極的に協力する姿勢が問われます。1学期の終わりに保護者面談がありましたが、平日にも関わらず母親と一緒に来校する父親を何人も見かけました。また、うちの学校では先日まで、コロナ禍を考慮して期間限定で公共交通以外での登下校を認めていましたが、多くのお父さんが付き添ってましたね。

 

子どもだけ、お母さんだけ、お父さんだけ、といった具合に1人で頑張るよりも、家族で団結する方がそれぞれ安定してパフォーマンスを発揮できます。そして、家族が手と手を取り合うためには、父親が縁の下の力持ちとしての役割を務めることが重要なのだと感じます。