小学校お受験のミカタっ!

アラフォーパパ、私立小あれこれ体感中

Vol.4 教室どうやって選ぶ?【後編】

ご覧いただきありがとうございます。

クロノスタ★シス夫です。

 

前回はお受験向けの幼児教室に通うメリットについて書きました。後編となる今回は、数ある教室の中から自分にあった教室を選ぶポイントについて考えてみます。

 

< デメリットは? >

その前に。前回の記事で教室の長所だけを並べたわけですが(教室のまわしモンではありませんw)、マイナス面についても取り上げておかないとフェアではないので補記します。

といっても大きなモノはあまり思いつかないのですが・・・小さいモノを3つほど。

 

・相応の費用を覚悟しなければならない

お金の問題は避けて通れないですね。ただ、これから述べることはデメリットというより『注意点』と思って読んでください。コストだけを切り離して高い!と騒ぐのはナンセンスですし。要はそれに見合う価値を感じられれば問題ないと思います。

 

教室の規模によって異なりますが、大手であれば年長コース1つで月4~6万は最低かかります(入学金などは別途)。これに加えて分野補強コース、春期・夏期講習、学校別特訓コース、各種模試など、オプションメニューが豊富に存在しています(中には運動会や強化合宿なんてのもあります)。気がついたら毎月の支払額が数十万円にふくれ上がることも全然あり得ます。教室の先生に追加メニューを“押し売り”されることはないと思いますが、親の心理としては藁にもすがる気持ちで、つい全方位的に補いたくなるものです。僕も最初の頃は周囲の独特な雰囲気に感化されたり不安を煽られて、『取り残されたくない症候群』と『やらないと後悔しそう症候群』を患い、次々にオプションを増やしたくなりました。語弊があるかもしれませんが、教育産業って不安ビジネスの側面が強いなぁと思ったものです。

 

大事なことは親が節度ある選択ができるかどうか。親の不安を解消するためのお勉強であってはならないはずです。わが家も自宅学習を基本軸にするよう努め、教室は補助だという気持ちをもつよう心がけましたし、単なる“良いお客さん”になっていないか立ち止まって考えるようにしました。

 

ここ数年、大学・中高の受験スクールを運営する企業による大手幼児教室の吸収合併や買収の動きが一部でみられます。少子化大学全入時代などの影響は、中高生向けの進学塾や予備校の経営環境としては逆風となっています。一方の小学校受験者数は伸びており、まだ成長が見込める市場。しかも利益率が高い。邪推な言い方をすれば、ビジネス的に美味しい幼児教室を取り込み、稼ぐところで稼ぐという力学が働いている可能性も否めません。

 

買収後に授業料を値上げするケースもあります。幼児教室としての本来の価値に、企業側の思惑がプラスされた値決めがなされている可能性も頭の片隅に置き、一概に「価格が高いほど質も良い」という商品ではないということも肝に銘じておいた方がいいです。

 

・必要以上に周囲が気になってしまう(かも?)

比較対象がそばにたくさんいる環境ですから、よそのお子さんとわが子を不用意に比べてしまう罠が潜んでいます。なんだか利発そうに見えちゃうんですよね(笑) まぁ心の問題でもあるのですが、気にする人はとことん気になるかもしれません。

 

また、教室の待合室で子を待っていると自然と周囲の様子が垣間見えます。子の解いた問題の○つけをしている人、お受験本を読んでいる人、ノートに何か書き綴っている人、掲示板のインフォメーションを見てはメモっている人など、黙々と “お受験爆進中”のソロ活動が繰り広げられています(笑) 僕はあまり気にならなかったのですが、妻からすれば待合室にいるだけで焦燥感に駆られるようで、慣れるまで居心地悪そうでした。ウチの通っていた教室が、待合室では静かに待つ(スマホは通話しなくても使用禁止)というマナーを徹底させていたことも起因していると思います。幼稚園でよく見かけるママ友同士おしゃべりする光景は皆無でしたねw 

まぁ考査本番も似た環境になるわけで、良いトレーニングになると思えばデメリットではなくメリットだと受け止めてもよろしいかとw。

 

・型にはめ過ぎる弊害

これは教室個々の質の問題なので、一概にデメリットと決めつけるのは乱暴なのですが、要するに詰込み型教育に偏り過ぎた場合の弊害の話です。

幼児期という前提を考えた場合、本来は子ども一人ひとりの個性や性格を最大限に尊重し、それぞれのペースにあった指導がなされるべきです。たしかに難関校から合格をいただくためには相応のテクニックの習得は有用ですし、これまでの経験にもとづいた“合格の型”をもつ教室は魅力的に映りますが、子どもの個性を損ないかねないような“度の過ぎた型はめ” を施してまで合格を勝ち取るべきではないと思います。教室の先生は幼児教育のプロですからこのことはよく理解して接してくれると思いますが、よりわが子にマッチした教室を探す上で、教室が掲げる教育方針や指導法と自分たち親の考え方があっているか、見学の際によくチェックすることをオススメします。

 

 

< 幼児教室のタイプ >

一口に教室といっても規模は様々、さらには同規模であっても複数の選択肢が存在しており(都市部は特に)、どこに決めればいいのか悩ましいところです。ザックリと整理してみるとこんな感じ。

※ あくまで個人的な定義にもとづいた分類です

 

 ◆大手教室

大都市圏の主要駅周辺を中心に数多く展開(たとえば首都圏なら23区内だけで10か所以上、各隣接県でも3~5教室ほど)。都内在住の人であれば、自宅から近距離の教室を選ぶことも可能。

 多種多様なコースがあり、また生徒数が多いことからクラスも豊富(たとえば、女子校を志望する子向けの女子クラス、超難関校を見据えた難関クラスなど)。ただし前述のとおり、費用は最終的に高額になるので節度をもって授業を選択する必要がある。

 

◆中規模教室

特定の地域や沿線を中心に一桁台程度の教室数を展開。地域密着型運営が多く、同エリア内や同沿線に所在する特定の学校対策に強い傾向がある。すでに志望校を絞り込んでいて、その学校への合格者を数多く輩出している教室が自宅近くにある場合には有用かも。

大手と比べると授業料は少し低めに抑えられている。比較的生徒数が少ないことから一人ひとりに細やかな指導が行き届く、というのを売りにしているところもあるが、学習レベルが中庸層に向かう傾向は否めない。大手に比べるとクラスの種類が少なく、1クラスのみということも珍しくない。

 

◆個別教室・家庭教師

ピンキリなので一概に言えない。特定の有名私立小に圧倒的に強いという評判がある個別教室、自称カリスマ教師と呼ばれる家庭教師も存在するようだが、、、その根拠となる指導の中身をしっかり確認すること。また、先生との距離が極めて近くなるので、自分たち親子との相性が合っているかよく吟味するべき。

 授業料もピンキリ。必ずしも安いというわけではないが、ある意味で明朗会計(コースは基本1種、そもそも追加オプションがない?)。また、集団行動などを学ぶ機会がないので、大手教室と併用するケースが多い模様。

 

 

どの教室を選ぶにしても重視すべきことは共通しています。「通いやすさ」と「教室の雰囲気・先生の質」、そして「合格実績」は最低限押さえるべきです。

 

通いやすさ

多い時には週に複数回通うことになるので、できるだけ自宅近くが理想ですよね。僕の場合、片道30分以内くらい、電車で通いやすい立地であることを条件に探しました(表向き、クルマ送迎は禁止という教室も多し)。

 

教室の雰囲気・先生の質

これが一番大事。ホームページやパンフレットだけでは実際のところは分からないので、見学や体験入室は欠かせません。先生の指導内容はもちろんのこと、待合室の雰囲気や授業を受ける子ども達の様子を見ながら、親の考えと子どもの性格に合っているかどうかをじっくり精査した方がいいです。

 

合格実績

自分たちの志望する学校に、どれだけ合格者を輩出しているかも気になるところ。特定の学校に強みをもつ教室は、毎年安定して一定の合格率を誇っていますので、できれば前年だけでなく過去数年分の実績を確認する方がいいですね。

 

 

< わが家が選んだ幼児教室は >

初めてのお受験ということもありフルパッケージの手厚さを欲する気持ちが強かったのと、東京にいながら関西の私立小受験に挑戦するわが家にとって正味の選択肢は2、3コに限られました。見て回った大手幼児教室は次のとおり(詳しくは各運営サイトをご覧ください)。

 

伸芽会

半世紀以上もの実績をもつ、幼児教室のパイオニア的存在。合格テクに傾倒せずバランス感覚のある指導方針、経験豊富な先生によるきめ細かな指導内容などに定評あり。

過去の膨大な入試データをもち、教材・問題集の出版多数。過去の分析に加え、最新の入試動向を交えて出題される「伸芽会オープン模試」は年間のべ2万人が受ける最大級の模試なので、精度の高い学力分析・合格判定が期待できる。

東京15教室、埼玉千葉3教室、神奈川2教室のほか、関西に3教室を展開しており、東西またいで受験する人にも心強い。

 

ジャック幼児教育研究所

こちらも数多くの合格実績をもつ大手の代表格。子どもの創造性をただ伸ばすのではなく、自発的に伸びるための教育を目指し、個性と潜在能力を引き出すユニークな指導法を実践している。傾向と対策を研究しつくした学校別対策では、本番の出題をピタリとあたることも。ジャックは保護者参観型の授業形式をとっており、親は毎回授業の様子を教室の後ろから見るので、子の学習状況を把握できる点はメリット(逆にいえば時間を拘束されるのがデメリット)。首都圏中心に15教室を展開。

 

理英会

特に神奈川県の小学校受験に強く、県下の有名小の合格率は軒並みトップ。こちらも各種問題集の出版物が豊富で自宅学習で利用する人も多い。授業料は伸芽会やジャックと比べるとやや割安感があるが、志望校別の対策クラスなど追加で受講していくとさほどの差は生じない(なお、年長クラスは選択するコースによって授業料が異なる)。神奈川6教室、東京千葉6教室、関西2教室の展開に加え、ミキハウスとの共同による幼児教室が13か所あり。

 

 

伸芽会を選んだ理由 >

で、最終的に選んだのは伸芽会

ジャックは西日本での展開がなかったのと、親の参観必須というのがネックとなり(うちの子は親がいると気合いが抜けてしまう性格だったのでw)、理英会は少し通学に難があったのと関西の教室が志望校にさほど合格者を出していなかったので(立地的にそもそも応募者を擁していない?)、見送りました。

何より、見学してみて一番しっくりきたのが伸芽会なんですよね。その理由はというと

 

・志望校の教育理念に通じるものがある

 

・オープン模試や模擬面接など、実戦的トレーニングが充実している

 

・先生同士で連携し、関西の志望校の情報も丁寧にフォローしてくれる

 

・親へのフィードバックが丁寧だった

 

・小学生になるということを常に自覚させてくれる(モチベーションをうまく引き出す)

 

といったことが挙げられます。

 

「受験だけに特化した指導に偏重することなく、表現力や探求心、柔軟性や協調性など、一人ひとりの個性開花を促す独自の幼児教育」という方針を掲げられていますが、これはうちの第1志望校の理念に通じるところが多々ありました。子どもから「考える時間」を取り上げないというか、きちんとプロセスを大切にするというか。

 

あとは、日頃から本番を意識した環境づくりを徹底されていたことも印象的でした。特に感心したのが教室の事務スタッフさんの子ども達に接する態度。テキパキと自分の仕事をする傍ら、教室に出入りする子ども達への目配り・気配りが行き届ていました。多い時には15人くらい立て続けにやってくる教室で、一人ひとりに丁寧に挨拶されていましたし、子ども側がうまく挨拶できた時には欠かさず褒め、そうでない時はきちんと注意されていました。第2の先生と呼んでもいいレベル(笑)。

 

意外と授業中はスイッチが入っても、親がそばにいる待合室では気が緩むもの。教室内へ移動する際にも、まず待合室でピシッと整列するところから始めていましたし(バラバラと勝手に入室しない)、月1回のテストの日には実際の考査さながらにゼッケンを付けるところからやらせていました(ちなみに伸芽会ではテストの日のことを『ゼッケンの日』と呼びます)。本番で不穏にならないよう、とにかく想定できることはすべて慣れさせていましたね。

 

それ以外にも色々とあるのですが、詳しくは前編で書いた幼児教室のメリットを参考にしていただければと思います。あそこに挙げたことはいずれも、伸芽会で実感したことばかりですので。

 

ということで、うちは伸芽会の東京にある教室をメイン利用したわけですが、年長の夏季講習期は家族で大阪に1ヶ月近く遠征しました(伸芽会の先生から、関西の子ども達の勢いとパワーに慣れておいた方がいいですよ~と冗談交じりに言われたことも影響してますねんw)。同じ伸芽会の関西にある教室を利用したり、関西では有名な奨学社さんの志望校別コースを受講したりと、かけもち状態でしたね。メイン以外の教室で受講するのも良い経験でした。娘にとって、知らない先生や子たちの輪に入っていく根性を鍛えられたと思います。

 

 

< 他の習い事はストップすべき? >

最後にこのテーマに触れておきたいと思います。

 

わが家では、受験を考える以前からめばえ教室とピアノ教室に通い、また通信教材のZ会を利用していました(Z会は小学生になった現在も継続中)。ピアノは入試の半年ほど前に一時休止し、めばえも考査直前の3ヶ月前だけは休みましたが、それ以外の期間は幼児教室と並行して通いました。

 

伸芽会の先生は必ずしも他の習い事をストップさせる必要はないですよとおっしゃっていましたが、年長ともなると教室に通う頻度も増えますし、学校説明会や体験授業に参加する機会も増え受験準備が本格化するので、現実的には年長になった時点で他の習い事を調整して負担軽減を図った方が精神的にも余裕をもってお受験に邁進できると思います。

 

ただし、幼稚園はできるかぎり通わせたかったので、試験前日以外はしっかり通園しました(前日は関西入り)。園の友達と過ごすかけがえのない経験も、この時期の娘の成長にとって欠かしてはいけない肥やしだと思っていました。

 

うちの場合は8月末に面接、9月中旬に考査で、ちょうど夏休みが追い込みのピークだったので通園を犠牲にする必要はあまりなかったのですが、考査前の時期が園の秋行事と重なりやすい関東圏の場合、大事をとって一定期間休ませるというケースもよく耳にします(ま、コロナ感染のリスクがある今。運動会や文化祭など中止・縮小する園がほとんどだと思いますが)。

 

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体調管理は何よりも大切ですし、万が一に備えて直前期は自宅でという考えもよく分かります。どこまで身構えるべきか、悩ましいところです。