小学校お受験のミカタっ!

アラフォーパパ、私立小あれこれ体感中

Vol.7 学校説明会ではココを見よう

どうも、最近筋トレにハマり出したシス夫です。腹筋ローラーLove !

前回までのブログでは、お受験の動機アレコレや、家庭の教育方針ウンヌンについて触れてきました。自分たちの希望する方向がある程度定まってきたら、次は具体的に志望校について理解を深めていく段階です!

学校のことを詳しく知るには説明会に行かなきゃ始まりません。どの私立小も学校パンフレットやホームページは充実していますが、そこは装飾された言葉にちりばめられた世界。素敵なイメージをもって憧れの気持ちを高揚させてくれますが、建前トークも紛れているわけでして。また逆に、紙面だけでは本当の魅力を伝えきれないという側面も十分考えられます。

 

というわけで、今回は学校説明会について体験したことをお伝えします。

入試本番前になると選考される立場という意識から学校側に媚びたくなる気持ちがニョキッと芽生えがちですが、まだこの段階では検討者として学校を選考する立場にあり、フラットな気持ちで客観的に見やすい状況。1校でも多く、興味を抱いた学校に出かけてみるのもいいかもしれません。

 

 

< ライブならではの情報をゲットすべし >

実際に校舎に足を踏み入れ、校長先生をはじめとする諸先生方の話を聞いたり、教室内の風景を目にすることができる絶好の機会、それが学校説明会です。さらには、実際に在校児童の授業を参観できる見学会や、受験する子どもたちを対象とした授業体験の場を設ける学校も珍しくありません。

 

受験を考えてるご家庭に向け、学校についての理解を深め、志望校として選択してもらうための材料の一つとして開催される学校説明会。その内容は実に様々で、各校のカラーが色濃く反映されています。

だいたいの学校では校長先生が登壇してお話されるのですが、手元のカンペを見ながら通り一遍の説明に終始する校長もいれば、旬の時事ネタや学校の最新トピックスを織り交ぜながら当意即妙なトークを炸裂させる校長もいます。学校の歴史や理念を語ることに重きを置く校長もいれば、子どものことや担当の先生たちのことを熱く語るのが好きな校長もいます。

校長先生は組織のトップに立つ存在ですからその影響力はとても大きく、その学校の「らしさ」が色濃く反映される媒体でもあるので、学校説明会で語る内容や立ち位置というのは大変参考になりました。

 

中には校長は表舞台にあえて立たず、担当の先生方が役割分担しながら連携プレーで構成された説明会もあり、これはこれでその学校らしさを垣間見た気がしました。普段の先生同士のコミュニケーションの有り様が伺える気がします。

そう言えば、会の最後に全学年の先生を一同に集めて紹介される学校もあり、丁寧な姿勢に好感をもちました。入学後、どのような先生のお世話になるのかは気になるところ。お顔を眺めるだけでも、「全体的に思ったより若い先生が多いな~」とか「女性の先生が少な目だな」といったことが伺えて、参考になりました。先生たちが自然体で笑顔だと何だか安心できます。

 

限られた時間(ほとんどの学校が1時間程度)しかないので、パンフレットやホームページに書いてあることはサラッと流してもらっていいから、現地に行かないと分からないことをちゃんと見せてくれたり、こちらからの質問に個別に応じてくれるコーナーをちゃんと用意しているとありがたいです。

 

学校説明会でチェックすべきは先生の話だけにとどまりません。教室内や各施設の様子や雰囲気、在校児童の描いた絵の掲示物や作文などの発表内容、学校やクラスの取り組みや目標を掲げた標語は、行かないと分からない有益な情報です。

さすがに校内オープン日に清掃をおろそかにする学校はないと思いますが、教室の棚割やロッカーを見ると普段の様子が伺えます。必要なモノを必要な容量で収納できる場所が一人ひとり定位置にきちんと用意されている教室を見ると、整理整頓する習慣づくりに真剣に取り組んでいるんだろうなぁとか想像できます。掲示物の貼り方一つとってもそう。

 

あと、在校児童の立ち居振る舞いや言葉遣いが参考になるのは言うまでもないこと。志望される学校が授業参観を開催するなら絶対参加しましょう! 掲げている建学の思いや教育理念が具現化されているのかどうか、授業をみていると汲み取れる部分があります。子ども達は多少緊張することはあっても学校に忖度しませんから、素の授業風景を見せてくれます(笑) 

 

ある学校の授業見学では、教室のレイアウトがコの字になっていて、よくあるような先生 対 児童というカタチではなく、みんなで一緒に考えること自体を楽しもうといった雰囲気に包まれていました。みんながディスカッションすることに慣れていて、闊達にプレゼンする一方で、相手の意見にも耳を傾ける姿勢もきちんとしていました。その学校が掲げている思考することを重んじるという理念が見事に体現されていることを実感し、とても納得感を得たことを覚えています。この見学が決め手となり、志望の意志が固まりましたね。

 

学校に足を運ぶと思い入れが深まるのは親だけではありません。うちの子も、自分が通う(かもしれない)校舎に入り、これから長きにわたって親交を深めていく(かもしれない)他の受験者の姿を目にすることで、自分が小学生になるんだという意識が刺激され(たような気がし)ます。

 

 

< 年中時から参加しておくと楽 >

多くの学校が、説明会や見学会は1回きりではなく複数回開催しています。すべてに参加しないとダメというわけではありませんが、開催ごとに少しテーマを変えるなどして志望校として選択してもらえるように学校側も積極的に趣向を凝らしている印象です。

たとえばある学校では、1回目はオーソドックスな学校説明、2回目は子どもたちの授業体験会、3回目はイベント参加の会、試験直前の4回目は考査内容の確認&個別質問会といった構成で、全部行ってもそれほど内容の重複を感じさせませんでした(まぁ今年はコロナの影響もあって、リアルでの開催を控えた学校がほとんどだと思いますが。来年以降どうなるんでしょうね、、、)

 

年長時の春、5月から7月にかけて開催する学校が多く、その時期の週末は2校ハシゴで参加というのも珍しくありません。ちょっとでも気になる学校であれば、とりあえず参加しておくにこしたことはないですからね。

 

わが家の場合は<6校×平均3回>+α、ザックリ20回近く参加しました!

これだけあると開催日時がバッティングして行けないこともありましたし、後半になって志望校入りしたある学校は直前に開催された1回のみ、僕だけ参加しました。妻に至っては1度も参加できないまま、初めてその学校の中に入ったのが保護者面接。面接官に「学校説明会で印象に残ったことは何でしょう?」と尋ねられてメチャクチャ焦りました(笑) ちなみに妻は

「参加できておりません」

と正直に答えたわけですが、その学校からは合格をいただきましたヨ(第1志望校にご縁いただいたので辞退しましたが)。

 

この経験から、理想としては年中時から学校説明会に参加して下調べを早めにスタートさせておく方がいいなと思った次第です。

 

 

< 相性を感じられるか >

説明会という貴重な情報収集の機会を最大限に生かすためには、あらかじめ事前に学校の基本的な概要は頭に入れておき、当日に確認・観察するポイントをイメージして臨むことをお勧めします。当日は校長先生の話をメモることに必死になりがちですが、僕はその作業に気をとられて思考停止するのがイヤだったので、メモしないで済むようにホームページに書いてあるようなことは最初から頭に入れて参加するよう心がけました。当日その場の雰囲気の中で感じること、気づくことに少しでも神経を集中させたくて。用意された情報をただ受け取るのではなく、こちらから能動的にあぶり出しに行こうという姿勢の方が説明会は面白いですね。面接ネタを探すという視点も有用です。

 

参加する前は抽象的にしか掴めず、何となく良さそうかも程度に思っていた学校のことが、リアルの情報に触れることで「ここは自分たちには合わないな」と肌感覚的に気づかされることもあります。明確にここがダメというものではないのですが、なんだかワクワク感が沸いてこないというか。こういう場合は直観を信じて志望校から外していきました。

 

ある学校の授業見学に参加したのですが、先生の話を聞かずに勝手にしゃべる子がちらほらいたり身だしなみが少し乱れている子がいたりで、指導レベルに若干の不安を抱いてしまい、最終的に受験には至りませんでした。のびやかで自由な校風を謳っている学校だったので、それも“らしさ”の裏返しなのかなとも解釈できるのですが(とはいえ授業中のエチケットは別問題ですけどね)、少なくとも自分たちの価値観には合わないかなと感じた次第です。

 

逆に実際の雰囲気に触れれば触れるほど、ますますファン心理のようなモノが働いて通わせたいという気持ちがより一層強まるケースも多々ありました。感覚的な話で恐縮ですが、相性というのも大切なファクターです。

 

相性といえば、説明会に参加している多数の父母の皆さんの様子も参考になります。説明会って知らない者同士が集うので(通っている幼児教室つながりの知り合いがいることもあるが)、基本的には静かで落ち着いた雰囲気なのですが、ある学校では系列の幼稚園からそのまま内部進学すると思われるお母さん連中も参加されていて、ワイワイガヤガヤ盛り上がっていました。毎年入学者のうち半分が内部幼稚園組が占める学校だったのですが、東京から単身参加した妻からすればとてもアウェイ感があったようです。また、もともと保護者の身なりが派手というイメージが強い学校だったのですが、実際に周りを見てそう感じたらしく、最終的にこちらの学校には応募しませんでした。

 

 

< 普段日も 見てみる>

説明会や見学会などの催しがないと、いくら応募者といえども学校の中にはなかなか入れません。が、普段日に学校に訪れて通学風景をみることはけっこう参考になりました(不審者扱いされないか、少しドキドキしますがw)。最寄り駅から校門へと向かう子ども達の登校する姿を見ていると、服装や礼儀正しさを観察することができますし、そこから学校の躾への指導度合いが伺えます。僕が見た学校では、校門の前で校長先生が生徒を迎え、「おはようございます」と一人ひとりと挨拶を交わしていました(下校時は教頭先生にバトンタッチ)。

また、自由と自主性を重んじる学校の中には、教科書を持ち帰らせないということもあってランドセルなしの軽装備で登下校するところもあるそうです。一方で、頭のてっぺんから足のつま先まで校章やシンボルマークの入った制服でバチッと身を包み、ランドセルはもちろんのことショルダーバッグも携えた重装備の学校も多く見かけます。伝統あるブランド校の場合、制服に憧れるご家庭も少なくないと聞きます。いずれも、学校の理念と指導方針を反映した生きた情報です。

 

 

 

以上、説明会について思うところを綴りました。コロナ禍の状況下、リアルな場での説明会の開催機会が少なくなっているかもしれませんが、できるかぎり生の情報に触れて理解を深めたいですね。

ネットで収集できる情報には限度がありますし、そのわりに信ぴょう性に欠けるモノも一定含有している可能性があります。ましてや、匿名による言いたい放題系のクチコミ情報は個人的には百害あって一利なし(かき乱されるだけ)だと思っていて、できるだけ見ないようにしました。客観性や鮮度に欠ける情報というのは、仮にその人にはその時そう感じられたとしても、今の自分にあてはまるとは限らないわけで。

自分たちの目で見て感じて、考えて抜いて出した結論を大切にしたいですね。

Vol.6 子の将来像について考えてみる

小学校受験を考える上で、志望校選びがいかに重要であるかは言うまでもないと思います。選択した学校によっては子の16年間を決定づけるインパクトがあるだけに、長期的なビジョンにもとづいた判断が求められます。

 

子の将来像を描かないまま小学校受験を何となくスタートさせてしまい、志望校を明確にしないまま日々の勉強だけに没頭し、模試結果に照らし合わせて妥当な合格ラインの学校へと何となく絞り込んでいくという『時の流れに身をまかせ方式』では、長期的な視点も何もあったものではありません。

 

 面接や願書を書く際には教育に対する各家庭の考えが問われますが、こちらが志望校の理念や教育方針に合わせて「置きにいく」のではなく、前もって決めておいた自分たちの「あるべき教育の姿」に照らし合わせ、マッチしていることを確認した上で受験するのが理想ではないでしょうか。そのためには、まず家庭が大切にしたい子の将来ビジョンや教育方針ありき。

 

学校のカタログやホームページは、独特のカッコイイ語句(建学精神とかによくみられる)や装飾された言い回しが含まれがちです。それらをそのまま受け入れてしまう前に、自分の言葉で教育の理想像を描いておくとお化粧言葉に惑わされませんし、複数の学校を併願するとしても一貫性のある学校選びができると思います。

 

ビジョンとか方針なんて言うと大袈裟に聞こえるかもしれません。僕もそれまで真面目に考えたことがありませんでした。明るく楽しい家族でいられたらいいなエヘ、くらいにしか思っていませんでした(笑) だってテーマが壮大だし、初めての受験で右も左も分からへん!と自分に言い訳。。。

 こうなればいいなと思ったところで、ではそのためには具体的にどんな方法を子育てに採り入れたらよいのか、見当がつきませんでした(当たり前ですが。みんな最初からノウハウもって子育てするわけじゃないのにw)。母親は子をおなかに宿した瞬間から母親になるが、父親は生まれてきてからやっと父親であることを自覚し始める、とはよく言ったもので、妊婦時代から本やネットで情報収集を続けた妻に対し、だいぶ遅れて慌てて学び始める僕。なんかスイマセン、、、

 

 

< 読んで書き出してみる >

というレベルだったので、まずは評判の高そうな本を数冊手に取り、子育て論の体系をつかむところからスタートしました。内容が偏らないよう、お受験に特化したものだけでなくタイプの異なるものも選ぶようにし、その中から共感できる部分や気になったフレーズをどんどんメモに残していきました。それをもとに妻と意見を交わし合って共通する価値観を確認していくうちに、おぼろげながらわが家の教育ビジョン(のようなもの)がかたまっていきました。メモ自体は全然整っていなくていいと思います。書き出すという作業自体、頭の中の整理にも役立ちます。

受験準備が進むにつれ、自分の理解が深まったり次々と新たな情報が加わったり。付け足しと修正を繰り返しながら磨かれていきました。最終的にその中から凝縮されたエッセンスを言語化し、面接や願書で伝えていくこととなります。

 

いろんな本を読み漁りましたが、特に『世界標準の子育て』(著/船津 徹)からは多くの示唆を得ました。グローバルに活躍するエリートに育てたい!という野望は皆目ありませんが(そういう趣旨の本ではありません)、とにかく分かりやすい。一般的に子育てには正解はないと言いますが、子どもの発育段階に応じて親がすべきことを体系化して示してくれていると思います。さほど目新しさはないですが、僕のような入門者には満足感を得られる内容になっているかと。

 

もちろんご家庭ごとで教育の価値観は異なりますし、人によっては参考にならない部分も多々含まれていると思います。僕はこの本の内容そのものを万人に薦めたいのではなく、志望校を決めるよりも先に自分自身の指針をもつことの大切さを説いているわけでして。最近あらためて読み返したのですが、合格をいただき現在通っている小学校の指導指針が、言葉や表現こそ一部違えども、かなりこの本の主張と重なっていて驚きました(まぁ、教育における普遍的なことが書かれているので、どんな学校でも何かしら共通部分は見いだせるのかもしれませんが)。

 

当時のメモをそのまま公開します。

※ 様々な本の寄せ集め、しかも自分向けの文章なのでまとまりに欠ける乱筆である点ご容赦ください

 

 

 

【 子育てについての雑記 】

・世界標準の子育て3条件

加速する情報革新の影響で、娘が社会に出る頃は世の中の変化に適応できる人とそうでない人の差はますます広がっている。変化に適応できる子が育つ条件は3つ。

  • 自信  = 心の強い子
  • 考える力  = 勉強ができる子
  • コミュニケーション力  = 人に好かれる子

 

・強い心は持って生まれる資質ではなく、親が与える後天的なもの

子は成長するにつれ壁に当たるのが世の常、立ち止まることも多々あって当然。肝心なのは走り続けることよりも走り始め続けることであり、困難に負けない強い心を養うこと。

 

・6歳までは「根拠のない自信」を育てよ

根拠のない自信とは、「自分は親から受け入れられている」「愛されている」という自信のことであり、そのことで「自分は価値ある人間だ」と思えている状態。根拠のない自信は、100%親から与えられるもので、幼少時に親からたっぷり愛情をもらうことでのみ得られる自信。根拠のある自信は小学生に上がって以降、子供自身が獲得するもの。

根拠のない自信はピラミッドでいうところの1段目みたいな存在、この上に積み上げていく勉強や人間関係などの土台なので、これが不足していると知識や技能を習得すればするほどグラグラ揺らぐ(=困難があった時に挫折しやすく、プレッシャーに弱い子になる)。

 

・納得できる理由を添える

子を受け入れるといっても時に叱かることも必要。では、自信をつぶさず躾けるにはどうすればよいのか? そんな時は、なぜその行動をしてはいけないのか言葉を尽くして丁寧に説明してあげることが大切。頭ごなしに「ああしなさい、こうしなさい!」という命令口調は×。そもそも子供は周りに迷惑をかけて成長するもの、ぐらいに親は考えておいた方がいい。頭ごなしに「迷惑かけるな」と正していたらキリがなく、ずっと怒り続けて負の連鎖から抜け出せない。もちろん放任もダメだが、子供の言い分を一旦受け入れる姿勢を示してあげるだけでも、自尊感情を損ねずに済むかも。「うんうん、気持ちはわかるよ。でね、~」といった前置きを深呼吸がわりにする。

 

・幼児が反抗する背景

幼児のイヤイヤ期は、「自立したい自分と、お母さんから離れたくない自分との葛藤」によるもの。3歳過ぎるあたりから、身のまわりのことを自分でできるようになってくることで自立心が芽生えてくる。と同時にお母さんから離れることに寂しさも感じており、この2つの気持ちがぶつかってイライラし、反抗的な態度へと子供をかきたてる。この子供の心理を理解してあげると、親も冷静になれる。

 

・根拠のない自信を育てる最高の方法① スキンシップ

肌と肌のふれあいは、愛情の実感を伝える最適な手段。特に躾で厳しい言葉を口にしないといけない場合、その前にスキンシップで心を満たした状態にしておくと効果大。逆に不安定な状態の時に躾すると失敗する。抱っこしながら、目をみて教え諭すのも有り。

 

・根拠のない自信を育てる最高の方法② お手伝いを活用

子供に簡単なお手伝いを丁寧な言葉で頼み、子供ができたら「手伝ってくれて助かったよ、ありがとう!」と、抱きしめて感謝の言葉を伝える。子供は成功体験を積むと同時に、親からのスキンシップと感謝のダブルパンチで、自信を強めることができる。子育て上手な家庭は、子供に頻繁に手伝いを頼み、成功体験のインプットを積み上げている。注意点は、お手伝いの出来不出来について、とやかく言わないこと。

 

・根拠のある自信の育て方

小学校に上がる7歳からは、根拠のある自信づくりに取り組む時期。これは親から受け取るものではなく子供が自ら努力して獲得するもので、競争にもまれながら継続していくことで習得できる。競争ときくと賛否両論かもしれないが、少なくとも課外活動における競争は子の健全な成長にとって必要なプロセスと捉えるべき。競争の目的は2つ。

  • 競争を通して自分の「強み」に気づかせるため
  • 困難に立ち向かう力、プレッシャーの中で実力を発揮する力といった「たくましい心」を育てるため

強みを伸ばせるような習い事をさせるとたくましく成長するもの。とはいえ、小学生の子供が自分で強みに気づくことはまずない。親がわが子の個性や身体能力にあった習い事を見つけてあげる。

 

・勉強だけで根拠のある自信を養うのは厳しい

試験勉強は誰もがすること(しなければならないこと)なので、上に進むにつれ競争相手が広がり、井の中の蛙だったことに気づかされるといった厳しいケースも。勉強だけを拠り所とした自信は脆く崩れやすいので、「勉強以外」のことにも強みを見出しておくと安心。アメリカでは地域のチームスポーツに入れるのがポピュラー、技術は二の次で真剣に競い合うことの面白さを体験させている。同じ習い事を10年続けると特技へと昇華され、自信は本物になる。仮に一番になれずとも10年真剣に続けたという事実が根拠となって、挫折や逆境に粘り強い人間になる。

 

・女の子と男の子で育て方のアプローチは違う

男の子はおだてて育てる、女の子は手本(型)を示して育てる、が基本。女の子は男の子よりも人間への関心が強く観察する力が鋭く、またルール・集団の調和を好む傾向にあるので、「手本を示す」→「マネさせる」→「努力を誉める」を繰り返すと伸びる。

 

・母親と父親の役割分担

スウェーデンの父親の育休取得率は80%(日本は2%)。父親が子育てに参加することで、母親の育児負担が分散でき、精神的余裕やストレス軽減をもたらす。幼児のうちは子育てのキーマンは母親(母ならではの愛情表現、スキンシップが子を満たす)で、父親はそのサポート役(家事の雑用など)。子が大きくなるにつれ、外出して遊んだり自然に触れさせたり、いつもと異なる人と関わる機会をつくるのは父親が適任。

 

・うまい褒め方とは

×:親の言うことを聞けたから褒める = 従順を促している

〇:自分の意志で行動できたから褒める = 自立を促している

褒めるときのコツは具体的なフィードバック。さらには「こういうところがすごい。なぜかというと~だから」というように理由を添えてあげるとベスト。

 

・脱 偏差値主義

アメリカの大学の入学試験は「多様性が新たな価値を創造する」ことを信念としており、ペーパーテストの点数に加えて、社会性、リーダーシップ、創造力、コミュニケーション力などを総合的に評価して合否を決める。その根底には異なる価値観や文化を持つ者同士が意見を闘わせることで人間的な成長が生まれるという原理原則を心得ているから。偏差値主義一辺倒の弊害は、趣味や音楽といった想像力や芸術性、運動、思考力、社会性といった可視化しにくいが子供の個性となり得る立派な強みを見逃しかねないということ。

 

・子を急き立てたくなったら、「やればできる子だもんね」を口癖に

「無理~」「できない」といった消極言葉を口にする子は、これまでの失敗体験の積み重ねを引きずっていることが多い。その背景には“早くしなさい”や“ちゃんとして!”といった親の急き立てによる弊害が潜む(焦らせると余計に失敗しやすい)。親の忍耐力が試されてると捉え、「やればできる!」と言いながら気長に見守ってあげる。

 

・食べ物の好き嫌い問題の正体

子供の「美味しくない・嫌い」は真に受けてはならない。その時の気分に左右されて言ってるケースもしばしば。こんな時は食卓の雰囲気を改善してみる。自分の話を聞いてくれる、今日あった出来事をもとに自分を褒めてくれる、食事とはそんな楽しい会話の時間なんだと理解させる。もちろん食育の視点も大切だが、それ以上に温かい食卓は家族の絆を深めるという点で有用であり、幼少時の楽しい食事風景の記憶は将来に大きな影響を与える。

 

早期教育は学習習慣づくりとセットで

教育の先取りは、ある程度はあった方がよい。2,3歩も先取りする必要はないが、1歩ないし半歩先の訓練をしておくと、いざ小学校に入学した際に余計な劣等感に悩むリスクを避けられる。周囲よりも読み書きが出来るんだ、という自信がさらなる意欲を生むかもしれない。かといって詰め込み過ぎは間違い。大切なのは学習と向き合う態度の確立。

 

・受験勉強 ≠ 詰め込み教育

幼少期は自信、考える力、コミュニケーション力の土台をつくる時期。合格にばかり気をとられて子供不在の詰め込み教育に陥ると、その後の発達に悪影響。受験というプロセスを通して3つの力を伸ばすことこそ本当のゴール、と捉えて受験にのぞむ方がよい。

 

・勉強ができる子に共通する資質

勉強ができる学生は数字や図形が得意、記憶力がずば抜けている、といった知的な才能を必ずしも有しているわけではない。学力を伸ばす素地が幼少期に出来上がっているというのが、勉強ができる子に共通する条件であり、それは以下6つの学習態度で構成される。

  • あきらめない
  • 自制心がある
  • 人の話を聞ける
  • 柔軟に思考できる
  • 正確さを追求する
  • チャレンジ精神をもっている

 

・言葉の力

言葉を扱う力がなければ思考もそれなりにしか育たない。考える力を高める最高のアイテムは本。6歳までに本好きな子供に育てられれば、子供の言語教育は成功したも同然。読書を通して語彙を増やし、知識を増やし、理解力を深め、思考力を高めていくことができる。

子供を本好きに育てるために有効な手段は「絵本の読み聞かせ」。本嫌いの子に共通する理由は「おもしろくない」「頭に入らない」。これは活字からイメージする力が足りないために、ストーリーの理解や感情移入が深まらず、本の世界に入っていけないから。絵本を読み聞かせることで想像力を培い、ストーリーを頭の中でイメージ化する訓練につながる。想像力をつける前に映像メディアに慣れてしまうと、想像力を使って物事を考えるのは面倒に感じる子に育つのでテレビの見すぎは要注意。

 

・小学校入学前までに読書力をつけておく

子供がストレスなく本が読めるようになるまで最低1年かかるので、逆算すると遅くても5歳から文字教育をスタートさせることが大切。小学校1年生というのは、子供が人生で初めて勉強ができる・できないという評価を先生から下される時であり、客観的な比較によって自分が勉強できる・できないことを知らされる。「読み書きできますか?」という先生の質問にパッと手を挙げられる子は、自分は勉強ができるという自信をもつとともに、その後勉強に対して前向きな態度をもちやすくなる。

 

・表情豊かな子供は人気者になる

0-6歳の子供に教えるコミュニケーション力で大切なのが「感情表現」。感情表現が豊かな子供に育てるためには、子供の気持ちに親がどれだけ共感するかがポイント。また、子供を笑わせることも重要。いっぱい笑って育った子は快活で素直な性格になる。

 

・聞く力を育てるために、親は聞き上手であれ

コミュニケーションとは、自分の言いたいことを一方的に伝えることではなく、人と人がメッセージを伝えあうものであり、「話す」と「聞く」の2つで構成される。とりわけ子供は聞くのが苦手。話の途中で割り込む、頭に浮かんだことをすぐ口にする、人の話を最後まで聞かない、などなど。聞く力の育て方は親が良い手本を示すこと、そのためにまずは親が子供の話をしっかり聞いてあげることが大切。幼い子供は言葉や表現が足りず、文法もあやふやなことが普通だから、「早くしなさい」「言葉が間違っている」といって急かしたりすぐ訂正したりせず、ニコニコしながら最後まで耳を傾けること。時には「へぇー!」「本当?」と相槌を打ったり、「それはビックリしたね」と共感しながら聞いてあげる(終)。

Vol.5 父親よ、本気出せ!~お受験で果たす役割~

前回の記事では「幼児教室を有効に利用すべし!」と熱弁したわけですが、とはいえやはり大切なのは家庭における親のスタンス。その中でも、父親の役割について今回は語りたいと思います。お母さん達と比べると、子どもとの日常的な関わりがどうしても少なくなるお父さん。しかし、受験の成否を決める重要な役割を担っているといっても過言じゃないっ!

 

< 母親に偏りがちな負担 >

実は僕もその昔、小学校受験を経験したことがあります(私立ではなく国立。あいにくご縁はありませんでしたw)。それほどの頻度ではなかったものの軽く幼児教室に通い、それなりにペーパーやら行動観察やらの対策を施された訳ですが、記憶の中ではお勉強から教室の送迎まですべて母が面倒を見てくれていました。当時3歳になる弟がいましたが、もちろんその世話もしつつ家事も併行しながらの受験準備でした。父はお勉強には一切関与しませんでした(これは小中高一貫しての話w)。

うちの場合は“記念受験”の要素が色濃く、あまり熱心に対策に取り組んだわけではなかったと思いますが(←言い訳)、もし本腰を入れてガッツリ受験に挑んでいたら母は相当に苦労しただろうことは、受験を経験した今は容易に想像できます。

 

小学校受験は、母親の献身的な努力が合格を勝ち取るエンジンになることは事実だと思いますが、母親のマンパワーだけで乗り切れるほど甘くないと思います。子の勉強をみるという作業は、とにかく気力を消耗します。自分から問題集をめくり、難問に直面してもくじけないで取り組み続けることができる。そんな子なら話は別ですが、おそらくほとんどの家庭では大なり小なり悪戦苦闘を繰り広げることでしょう。褒めたり叱ったりを反復し、昨日できたことが今日できないなんてこともザラ、それでもまた立ち向かう。これの繰り返しなわけです。

 

また、対策は机上だけでは済みません。季節行事に触れたり、外に出て運動し体力づくりに励んだり、五感を使って好奇心や想像力を高める経験をさせたりと、多岐にわたります。

 

さらに、お勉強のことだけに気を取られるわけにもいきません。志望校を研究したり、お受験情報を収集したり。年長の春ともなると説明会もさかんにスタートします。中には定員に上限のある体験授業もあり、エントリー時期をしっかり押さえておかなければなりません。

 

言うまでもなく、上記のことは普段の家庭の切り盛りとかけもちでやるわけで。加えて、ワーママであればもちろん仕事もこなさなければなりません。そりゃ悲鳴をあげたくなるほど多忙になります、身も心もクタクタ。こうした忙しさからくる精神的な不安定さは子にも感染し、そして増殖するものです。子のために良かれと思ってやっていることが、逆効果をもたらしかねません。

 

このように、お母さんにかかる負担は想像を超えるものです。お父さんが満身創痍の妻に気づかず、お受験準備のほとんどを任せっぱなしにしてしまったら。。。

長い道程のどこかでお母さんの心が折れて頓挫しかねません。

 

 

< 父親の役割とは >

お受験は子ども1人でも母親1人でもなく、家族が一致団結して挑む騎馬戦のようなモノだと思います。お母さん1人で子を担ぐ“肩車”では途中で崩れ落ちてしまいます。お父さんの協力が不可欠なのです。

 

では、お父さんはどのような役割を主に担うべきなのでしょう。家庭ごとに状況は異なるでしょうが、僕が意識したことはこんな感じです。

 

・受験および子育て全般を妻任せにしない

 

・遊びやおでかけの企画を立てる

 

・受験準備の段取りと会計まわり全般を引き受ける

 

・妻のコンディションを気遣う

 

 

うちの場合は、1ヶ月のうち半分ほどは単身赴任状態(大阪)だったので、僕の不在期間は妻に相当の負担がかかったと思います。実際、久々に家に戻ると「これはヤバい」と感じたことも何度かあります(笑) ですので、せめて家に戻っている期間は全般的に子どもの勉強をみましたし、教室の送迎や先生との面談、絵本の読み聞かせや寝かしつけも積極的に引き受けました。子と母親の気分転換も兼ねて週末にはおでかけしたり、遊びの計画を立てるのも僕の役割でした。

 

僕の仕事が自営業&在宅ワーク中心だったので、日中から専任家庭教師ばりに子の勉強をみることができたわけですが、家庭によっては母親が勉強をみるケースの方が多いと思います。その場合は、父親は積極的に家事全般を受け持つのもいいですね(そもそも受験とか関係なく、家事は分担すべきでしょとお叱りを受けるかもしれませんが!)。

 

また、夕食時には会話の機会をたくさんつくって、僕が留守の時に起きた出来事や幼稚園での日常のことなど、娘や妻の話をしっかり聞くことを心がけましたね。会話のキャッチボール1つで、娘の些細な成長を客観的に把握することにつながります。日常ベッタリ傍にいるわけじゃない分、お父さんの方が冷静になれる側面があるかもしれません。実際、面接対策で子の長所を考えるにあたっては、一歩ひいた視点は有用だったと思います。

 

家を離れている時にもやることはたくさんありました。うちの場合は東京在住からの関西お受験なので、きちんと段取りを考えないとムダやムリが生じてしまいます。

春の時点ではまだ志望校を絞りきっておらず、5校ほどピックアップしていたわけですが、各校とも説明会2回+体験授業モノ1回の計3回ほど参加すべき催しがあったので、そのスケジュール化に頭を悩ませました。重ねられるものは重ね、僕だけの参加で済ませられるものは1人で行って見聞きしたことをメモにして妻と共有するようにし(または1回目は僕が参加し、2回目を妻が交代で参加するケースも。この場合は僕が東京に戻り留守を預かります)、子も参加させるべきものは宿泊先や移動の手配もしなければなりません。夏には関西校の特別講座を受けるため3人で合宿ヨロシク大阪に滞在したり。

こういった面倒なスケジューリングは、日常の家事と子の世話から切り離されたお父さんの方が集中して粛々とやれる環境にあるんじゃないでしょうか。段取り業務は仕事でも慣れている方も多いでしょうし。

 

あとは、4.の『妻のコンディションを気遣う』が重要なのは言うまでもありません。妻は僕に遠慮してか(?)、ちょっと風邪をひいたくらいで僕を呼び戻すことはしませんでしたが、きっと父親不在の日常生活はかなり心細かったと思います(さすがにインフルエンザに罹患した時とギックリ腰になった時は即召喚されましたw)。

悩みや愚痴を聞いてあげるだけでも全然違ってきます。父親は何もメインプレイヤーを目指す必要はなく、母親と子のそばで精神的な支えとなり一家を守る、サポーターのような役割なのかもしれません。

 

 

< 父親の存在感はけっこう大事 >

実際、父親不在というのは試験にも少なからず影響するようです。たとえば、過去問題の一例を挙げると

「家族そろって夕飯を食べている様子を描いてください」

「家族でピクニックを楽しんでいる絵を描いてください」

といった出題に対し、お父さんが登場しない絵を描く子どもが意外と散見されたと言います。

 

「お父さんのお仕事について教えてください」

「家族で出かけた場所で一番印象に残っているところはどこですか」

「最近、お父さんから褒められたこと、叱られたことは何ですか」

 

面接時にはこの手の質問が子どもに問いかけられますが、フリーズしてしまったり「知りません」と答えたりすると、教育に対する父親の関与・関心の薄さが露呈しかねません。

父親への質問でも

 

「週末お休みの時はどのように過ごしていますか」

「子育てで心がけていらっしゃることをお聞かせください」

「お子様が成長したなと実感したエピソードを教えてください」

 

といったことがしばしば聞かれます。面接で志望理由を尋ねることは「お約束」みたいなもので、当然こちらも十分な対策を練ってのぞむわけですが、子どもと普段どのように接しているのか、上記のような質問で父親の教育に対する当事者意識や姿勢が浮かび上がってくるものです。

 

一方で、ただ単にわが子を溺愛しまくってることしか面接官にアピールできないというのも難あり、です。子どもとしっかり向き合い、自立を後押しするような親子関係を築いてきたかどうか。面接官はそこを知りたいはずです。

 

受験準備を始めると母親は怖い存在になる一方、父親はつい甘やかしてくれる存在に陥ることがあるようです。でも、ムチ役を母親に押しつけて自分はアメ役の美味しいところだけ得るのは虫が良すぎというもの。たしかに献身さのあまりお母さんの感情が暴走した時にはそっとブレーキをかけたり、子どもをケアする必要はありますが、躾けの厳しさはきちんと夫婦で公平に分かち合うべきだと思います。

 

 

< 家族の団結力 >

わが家ではお受験の言い出しっぺということもあり、わりと僕が率先して調べたり考えたりすることも多かったのですが、かと言って僕が特段よく関与するタイプのお受験パパだったかというと、そうでもないと思います。必死にやってるご家庭は、どこもお父さんが全面的に関わっているという印象。

通っていた幼児教室ではよくお父さん達を見かけました。平日は少なめですがそれでも一定数いらっしゃいましたし、週末ともなるとお父さん率はかなり高かったです。皆さん先生に質問したりメモをとったりと、とても熱心に取り組んでました。

 

入学後もそう。教育理念に賛同し、学校運営に積極的に協力する姿勢が問われます。1学期の終わりに保護者面談がありましたが、平日にも関わらず母親と一緒に来校する父親を何人も見かけました。また、うちの学校では先日まで、コロナ禍を考慮して期間限定で公共交通以外での登下校を認めていましたが、多くのお父さんが付き添ってましたね。

 

子どもだけ、お母さんだけ、お父さんだけ、といった具合に1人で頑張るよりも、家族で団結する方がそれぞれ安定してパフォーマンスを発揮できます。そして、家族が手と手を取り合うためには、父親が縁の下の力持ちとしての役割を務めることが重要なのだと感じます。

Vol.4 教室どうやって選ぶ?【後編】

ご覧いただきありがとうございます。

クロノスタ★シス夫です。

 

前回はお受験向けの幼児教室に通うメリットについて書きました。後編となる今回は、数ある教室の中から自分にあった教室を選ぶポイントについて考えてみます。

 

< デメリットは? >

その前に。前回の記事で教室の長所だけを並べたわけですが(教室のまわしモンではありませんw)、マイナス面についても取り上げておかないとフェアではないので補記します。

といっても大きなモノはあまり思いつかないのですが・・・小さいモノを3つほど。

 

・相応の費用を覚悟しなければならない

お金の問題は避けて通れないですね。ただ、これから述べることはデメリットというより『注意点』と思って読んでください。コストだけを切り離して高い!と騒ぐのはナンセンスですし。要はそれに見合う価値を感じられれば問題ないと思います。

 

教室の規模によって異なりますが、大手であれば年長コース1つで月4~6万は最低かかります(入学金などは別途)。これに加えて分野補強コース、春期・夏期講習、学校別特訓コース、各種模試など、オプションメニューが豊富に存在しています(中には運動会や強化合宿なんてのもあります)。気がついたら毎月の支払額が数十万円にふくれ上がることも全然あり得ます。教室の先生に追加メニューを“押し売り”されることはないと思いますが、親の心理としては藁にもすがる気持ちで、つい全方位的に補いたくなるものです。僕も最初の頃は周囲の独特な雰囲気に感化されたり不安を煽られて、『取り残されたくない症候群』と『やらないと後悔しそう症候群』を患い、次々にオプションを増やしたくなりました。語弊があるかもしれませんが、教育産業って不安ビジネスの側面が強いなぁと思ったものです。

 

大事なことは親が節度ある選択ができるかどうか。親の不安を解消するためのお勉強であってはならないはずです。わが家も自宅学習を基本軸にするよう努め、教室は補助だという気持ちをもつよう心がけましたし、単なる“良いお客さん”になっていないか立ち止まって考えるようにしました。

 

ここ数年、大学・中高の受験スクールを運営する企業による大手幼児教室の吸収合併や買収の動きが一部でみられます。少子化大学全入時代などの影響は、中高生向けの進学塾や予備校の経営環境としては逆風となっています。一方の小学校受験者数は伸びており、まだ成長が見込める市場。しかも利益率が高い。邪推な言い方をすれば、ビジネス的に美味しい幼児教室を取り込み、稼ぐところで稼ぐという力学が働いている可能性も否めません。

 

買収後に授業料を値上げするケースもあります。幼児教室としての本来の価値に、企業側の思惑がプラスされた値決めがなされている可能性も頭の片隅に置き、一概に「価格が高いほど質も良い」という商品ではないということも肝に銘じておいた方がいいです。

 

・必要以上に周囲が気になってしまう(かも?)

比較対象がそばにたくさんいる環境ですから、よそのお子さんとわが子を不用意に比べてしまう罠が潜んでいます。なんだか利発そうに見えちゃうんですよね(笑) まぁ心の問題でもあるのですが、気にする人はとことん気になるかもしれません。

 

また、教室の待合室で子を待っていると自然と周囲の様子が垣間見えます。子の解いた問題の○つけをしている人、お受験本を読んでいる人、ノートに何か書き綴っている人、掲示板のインフォメーションを見てはメモっている人など、黙々と “お受験爆進中”のソロ活動が繰り広げられています(笑) 僕はあまり気にならなかったのですが、妻からすれば待合室にいるだけで焦燥感に駆られるようで、慣れるまで居心地悪そうでした。ウチの通っていた教室が、待合室では静かに待つ(スマホは通話しなくても使用禁止)というマナーを徹底させていたことも起因していると思います。幼稚園でよく見かけるママ友同士おしゃべりする光景は皆無でしたねw 

まぁ考査本番も似た環境になるわけで、良いトレーニングになると思えばデメリットではなくメリットだと受け止めてもよろしいかとw。

 

・型にはめ過ぎる弊害

これは教室個々の質の問題なので、一概にデメリットと決めつけるのは乱暴なのですが、要するに詰込み型教育に偏り過ぎた場合の弊害の話です。

幼児期という前提を考えた場合、本来は子ども一人ひとりの個性や性格を最大限に尊重し、それぞれのペースにあった指導がなされるべきです。たしかに難関校から合格をいただくためには相応のテクニックの習得は有用ですし、これまでの経験にもとづいた“合格の型”をもつ教室は魅力的に映りますが、子どもの個性を損ないかねないような“度の過ぎた型はめ” を施してまで合格を勝ち取るべきではないと思います。教室の先生は幼児教育のプロですからこのことはよく理解して接してくれると思いますが、よりわが子にマッチした教室を探す上で、教室が掲げる教育方針や指導法と自分たち親の考え方があっているか、見学の際によくチェックすることをオススメします。

 

 

< 幼児教室のタイプ >

一口に教室といっても規模は様々、さらには同規模であっても複数の選択肢が存在しており(都市部は特に)、どこに決めればいいのか悩ましいところです。ザックリと整理してみるとこんな感じ。

※ あくまで個人的な定義にもとづいた分類です

 

 ◆大手教室

大都市圏の主要駅周辺を中心に数多く展開(たとえば首都圏なら23区内だけで10か所以上、各隣接県でも3~5教室ほど)。都内在住の人であれば、自宅から近距離の教室を選ぶことも可能。

 多種多様なコースがあり、また生徒数が多いことからクラスも豊富(たとえば、女子校を志望する子向けの女子クラス、超難関校を見据えた難関クラスなど)。ただし前述のとおり、費用は最終的に高額になるので節度をもって授業を選択する必要がある。

 

◆中規模教室

特定の地域や沿線を中心に一桁台程度の教室数を展開。地域密着型運営が多く、同エリア内や同沿線に所在する特定の学校対策に強い傾向がある。すでに志望校を絞り込んでいて、その学校への合格者を数多く輩出している教室が自宅近くにある場合には有用かも。

大手と比べると授業料は少し低めに抑えられている。比較的生徒数が少ないことから一人ひとりに細やかな指導が行き届く、というのを売りにしているところもあるが、学習レベルが中庸層に向かう傾向は否めない。大手に比べるとクラスの種類が少なく、1クラスのみということも珍しくない。

 

◆個別教室・家庭教師

ピンキリなので一概に言えない。特定の有名私立小に圧倒的に強いという評判がある個別教室、自称カリスマ教師と呼ばれる家庭教師も存在するようだが、、、その根拠となる指導の中身をしっかり確認すること。また、先生との距離が極めて近くなるので、自分たち親子との相性が合っているかよく吟味するべき。

 授業料もピンキリ。必ずしも安いというわけではないが、ある意味で明朗会計(コースは基本1種、そもそも追加オプションがない?)。また、集団行動などを学ぶ機会がないので、大手教室と併用するケースが多い模様。

 

 

どの教室を選ぶにしても重視すべきことは共通しています。「通いやすさ」と「教室の雰囲気・先生の質」、そして「合格実績」は最低限押さえるべきです。

 

通いやすさ

多い時には週に複数回通うことになるので、できるだけ自宅近くが理想ですよね。僕の場合、片道30分以内くらい、電車で通いやすい立地であることを条件に探しました(表向き、クルマ送迎は禁止という教室も多し)。

 

教室の雰囲気・先生の質

これが一番大事。ホームページやパンフレットだけでは実際のところは分からないので、見学や体験入室は欠かせません。先生の指導内容はもちろんのこと、待合室の雰囲気や授業を受ける子ども達の様子を見ながら、親の考えと子どもの性格に合っているかどうかをじっくり精査した方がいいです。

 

合格実績

自分たちの志望する学校に、どれだけ合格者を輩出しているかも気になるところ。特定の学校に強みをもつ教室は、毎年安定して一定の合格率を誇っていますので、できれば前年だけでなく過去数年分の実績を確認する方がいいですね。

 

 

< わが家が選んだ幼児教室は >

初めてのお受験ということもありフルパッケージの手厚さを欲する気持ちが強かったのと、東京にいながら関西の私立小受験に挑戦するわが家にとって正味の選択肢は2、3コに限られました。見て回った大手幼児教室は次のとおり(詳しくは各運営サイトをご覧ください)。

 

伸芽会

半世紀以上もの実績をもつ、幼児教室のパイオニア的存在。合格テクに傾倒せずバランス感覚のある指導方針、経験豊富な先生によるきめ細かな指導内容などに定評あり。

過去の膨大な入試データをもち、教材・問題集の出版多数。過去の分析に加え、最新の入試動向を交えて出題される「伸芽会オープン模試」は年間のべ2万人が受ける最大級の模試なので、精度の高い学力分析・合格判定が期待できる。

東京15教室、埼玉千葉3教室、神奈川2教室のほか、関西に3教室を展開しており、東西またいで受験する人にも心強い。

 

ジャック幼児教育研究所

こちらも数多くの合格実績をもつ大手の代表格。子どもの創造性をただ伸ばすのではなく、自発的に伸びるための教育を目指し、個性と潜在能力を引き出すユニークな指導法を実践している。傾向と対策を研究しつくした学校別対策では、本番の出題をピタリとあたることも。ジャックは保護者参観型の授業形式をとっており、親は毎回授業の様子を教室の後ろから見るので、子の学習状況を把握できる点はメリット(逆にいえば時間を拘束されるのがデメリット)。首都圏中心に15教室を展開。

 

理英会

特に神奈川県の小学校受験に強く、県下の有名小の合格率は軒並みトップ。こちらも各種問題集の出版物が豊富で自宅学習で利用する人も多い。授業料は伸芽会やジャックと比べるとやや割安感があるが、志望校別の対策クラスなど追加で受講していくとさほどの差は生じない(なお、年長クラスは選択するコースによって授業料が異なる)。神奈川6教室、東京千葉6教室、関西2教室の展開に加え、ミキハウスとの共同による幼児教室が13か所あり。

 

 

伸芽会を選んだ理由 >

で、最終的に選んだのは伸芽会

ジャックは西日本での展開がなかったのと、親の参観必須というのがネックとなり(うちの子は親がいると気合いが抜けてしまう性格だったのでw)、理英会は少し通学に難があったのと関西の教室が志望校にさほど合格者を出していなかったので(立地的にそもそも応募者を擁していない?)、見送りました。

何より、見学してみて一番しっくりきたのが伸芽会なんですよね。その理由はというと

 

・志望校の教育理念に通じるものがある

 

・オープン模試や模擬面接など、実戦的トレーニングが充実している

 

・先生同士で連携し、関西の志望校の情報も丁寧にフォローしてくれる

 

・親へのフィードバックが丁寧だった

 

・小学生になるということを常に自覚させてくれる(モチベーションをうまく引き出す)

 

といったことが挙げられます。

 

「受験だけに特化した指導に偏重することなく、表現力や探求心、柔軟性や協調性など、一人ひとりの個性開花を促す独自の幼児教育」という方針を掲げられていますが、これはうちの第1志望校の理念に通じるところが多々ありました。子どもから「考える時間」を取り上げないというか、きちんとプロセスを大切にするというか。

 

あとは、日頃から本番を意識した環境づくりを徹底されていたことも印象的でした。特に感心したのが教室の事務スタッフさんの子ども達に接する態度。テキパキと自分の仕事をする傍ら、教室に出入りする子ども達への目配り・気配りが行き届ていました。多い時には15人くらい立て続けにやってくる教室で、一人ひとりに丁寧に挨拶されていましたし、子ども側がうまく挨拶できた時には欠かさず褒め、そうでない時はきちんと注意されていました。第2の先生と呼んでもいいレベル(笑)。

 

意外と授業中はスイッチが入っても、親がそばにいる待合室では気が緩むもの。教室内へ移動する際にも、まず待合室でピシッと整列するところから始めていましたし(バラバラと勝手に入室しない)、月1回のテストの日には実際の考査さながらにゼッケンを付けるところからやらせていました(ちなみに伸芽会ではテストの日のことを『ゼッケンの日』と呼びます)。本番で不穏にならないよう、とにかく想定できることはすべて慣れさせていましたね。

 

それ以外にも色々とあるのですが、詳しくは前編で書いた幼児教室のメリットを参考にしていただければと思います。あそこに挙げたことはいずれも、伸芽会で実感したことばかりですので。

 

ということで、うちは伸芽会の東京にある教室をメイン利用したわけですが、年長の夏季講習期は家族で大阪に1ヶ月近く遠征しました(伸芽会の先生から、関西の子ども達の勢いとパワーに慣れておいた方がいいですよ~と冗談交じりに言われたことも影響してますねんw)。同じ伸芽会の関西にある教室を利用したり、関西では有名な奨学社さんの志望校別コースを受講したりと、かけもち状態でしたね。メイン以外の教室で受講するのも良い経験でした。娘にとって、知らない先生や子たちの輪に入っていく根性を鍛えられたと思います。

 

 

< 他の習い事はストップすべき? >

最後にこのテーマに触れておきたいと思います。

 

わが家では、受験を考える以前からめばえ教室とピアノ教室に通い、また通信教材のZ会を利用していました(Z会は小学生になった現在も継続中)。ピアノは入試の半年ほど前に一時休止し、めばえも考査直前の3ヶ月前だけは休みましたが、それ以外の期間は幼児教室と並行して通いました。

 

伸芽会の先生は必ずしも他の習い事をストップさせる必要はないですよとおっしゃっていましたが、年長ともなると教室に通う頻度も増えますし、学校説明会や体験授業に参加する機会も増え受験準備が本格化するので、現実的には年長になった時点で他の習い事を調整して負担軽減を図った方が精神的にも余裕をもってお受験に邁進できると思います。

 

ただし、幼稚園はできるかぎり通わせたかったので、試験前日以外はしっかり通園しました(前日は関西入り)。園の友達と過ごすかけがえのない経験も、この時期の娘の成長にとって欠かしてはいけない肥やしだと思っていました。

 

うちの場合は8月末に面接、9月中旬に考査で、ちょうど夏休みが追い込みのピークだったので通園を犠牲にする必要はあまりなかったのですが、考査前の時期が園の秋行事と重なりやすい関東圏の場合、大事をとって一定期間休ませるというケースもよく耳にします(ま、コロナ感染のリスクがある今。運動会や文化祭など中止・縮小する園がほとんどだと思いますが)。

 

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体調管理は何よりも大切ですし、万が一に備えて直前期は自宅でという考えもよく分かります。どこまで身構えるべきか、悩ましいところです。

Vol.3 教室どうやって選ぶ?【前編】

どうも、クロノスタ★シス夫です。

これを書いているのは10月上旬。関東は本番直前もしくは本番中の方が多数だと思いますが、関西では概ね今年の考査が終わりました。お受験にのぞまれた皆さま、本当にお疲れさまでした。今年の受験準備はコロナ禍の影響を受け、多くの学校で説明会や授業見学がオンラインに代替されるなど、多岐に渡ってイレギュラーの連続だったのではないでしょうか。各校のコロナへの対応に関する情報を迅速かつ漏れなく、収集する苦労も相当のものだったと推察します。

 

このように世の中がバタバタする中において、お受験向け幼児教室はその高い専門性に信頼と安心感が寄せられ、大きな存在感を示した印象があります。今回はそんな心強い存在、幼児教室について、実際に通って感じたメリットや活用の注意点、教室の選び方について書いてみますね。

 

< 教室に任せるべき?独学だけじゃダメ? >

幼児教室といっても様々なタイプがありますが、ここでは私立・国立の受験対策を目的とした専門の幼児教室を念頭にお話します。もちろんお受験を謳っていない通常の教室であっても、知能教育という点で役立つ部分はあると思いますが、明確に受験を目標とする教室と比べると大きな違いがあります。

さて。受験に際して教室は欠かせないかと問われると、僕個人の意見は『欠かせない』です。じゃあ独学では受験突破は絶対に不可能なの?と尋ねられたら、そうでもないと答えますが(笑) 要するに各ご家庭の置かれている状況次第なのですが、少なくとも下記のどれかに当てはまる人は通われることをオススメします。

 

◆競争率2倍以上の学校を志望

関西だと競争率は1倍+αの学校も散見されますが、首都圏では2-3倍は当たり前、人気校だと5倍を超えてくる学校も珍しくありません。そうした難関校を志願する子は、おおむね教室に通い(しかもけっこう早い段階で)バリバリに対策を施されています。

 

◆考査まで1年きってから受験準備を開始

年長からのスタートだと手遅れとまではいかないまでも、効率よく進まなければかなり厳しい道のりになると思います。学習計画、学校の情報収集、願書・面接対策など、親がやるべきことは多岐に渡ります。ここを無駄なく、またムリなく乗り切る上で、教室のサポートは強力だと感じます。

 

◆遠方にある学校を志望

大手の教室の中には全国展開されているところもあります。ネットワークを活用し、遠隔地にいながら必要な情報と細やかなサポートを得られることは、教室ならではのメリットです。

 

◆初めての受験、とにかく不安

1回きりの受験、何が何でも私立に行かせたいというご家庭にとっては、失敗は許されないというプレッシャーの中で教室は心強い存在となります。

上のお子さんの時に受験を経験されており、ある程度対策の要領を得ているという自信のあるご家庭であれば、もしかしたら独学でも良いのかもしれません。ただ、私のまわりを見ますと上のお子さんで教室の世話になった経験があるからこそ、その必要性を痛感されており下のお子さんも通わせる、というケースがほとんどです。

 

 

< 実際に通ってよかったと思うこと >

当時のわが家は上記4点すべてにヒット(笑) 躊躇なく教室に通うことを即断しました。通った期間は8ヶ月間ほどと短めでしたが、振り返ってみると教室が大きな役割を担ってくれたことをあらためて実感します。僕が思う主なメリットは以下の通りです。

 

1. 目的地までの適切な道筋を示してくれる

小学校受験では偏差値のような、合格の目安になる明確な基準というものがないので、中学以上の受験のように粛々と目標ラインに向けて偏差値を上げていくというトレーニング方法は通用しにくいです。現時点の実力も志望校の合格水準も、数値でつかむことが難しいのです。受験対策を立てる上で、現在地と目的地までの差分を埋めていくのが合格の要諦だと思いますが、こうした定量化しにくい中で距離感を正しく把握し、そして適切なルートを示してくれるのが教室の最大の強みだと感じます。

 

小学校受験の考査では、独自の教育理念に根差した各校ごとのオリジナリティが反映されます。特に行動観察や面接などは、各校ごとの評価のポイントの違いが表れやすいといえます。「目的地」である自分の志望校がどのような出題の思想をもっていて、何を見ていかに評価するのか。受験専門の大手幼児教室はここについて膨大な情報を蓄積しており、且つそれを駆使して一人ひとり足りない要素を補う個別指導のノウハウがあります。

 

2. 適切なペースで伴走してくれる

一方、わが子の「現在地」というのも家庭だけで把握することはなかなか難しいものです。お世話になった先生によく言われたのですが、この年齢の子どもは「1歩進んで2歩下がる」ことはしょっちゅう。昨日できたことが今日できなかったら、親としてはついイライラしてしまうかもしれませんが、いちいち焦らないでください、と諭されました(笑)

実際、考査は詰め込んできた知識のアウトプット精度を競う場ではありません。しっかりと人の話を聞いて理解できるか、自分で考え適切に行動することができるか、他者との関わりの中で礼節ある振る舞いがとれるか等、生活習慣や態度をチェックされることとなります。でも、これって5-6歳児にとってみればけっこうハード。。その点、幼児教室は発育過程に応じて総合的な学びや経験の場を提供してくれます。もちろん、単なる情報の提供にとどまりません。子どもの意欲を上手に引き出しながら、自信を与えてくれるコーチのような存在。それに加え、親自身の焦る気持ちもうまく和らげてくれます。

 

自分のペースを保つには、冷静でいられることが大切です。しかし、わが子を見る親の視点というのはともすると視野が狭くなったり偏ったりと不安定になりがち。一喜一憂の連続(いや、一喜十憂かなw)の中、お受験のプロの客観的な視点というのはやはり貴重だなーと強く実感したものです。

 

3. 本番力を鍛えてくれる

考査では主に「ペーパー試験」「行動観察」「面接」「運動」「制作課題」などが行われます。ペーパーでは文字や数字を書かせることはありませんが、ある程度対策をしていないと解けない問題も多いです。また、せっかく解ける知識をもっていたとしても本番で力を発揮できないケースもあります。たとえば問題ごとに鉛筆の色を指定して記入させる出題形式もあり、きちんと指示を聞きながら解けるか。また、設問ごとに解く時間が定められていますから、ミスなく楽に解く方法(たとえば数の数え方)や1つのことで躓いたら後回しして解ける問題に手をつける“わり切り”も身につけておくと有効です(最初のうちからこれを仕込むと苦手克服ができなくなる恐れがあるので、わり切りは直前期に伝授しました)。

 

ペーパー以上に本番力を問われるのが行動観察や面接です。行動観察では集団の中での協調性や個性をチェックされます。自分の意見を述べるだけではなく、しっかりと「聞く」「観る」ことが出来ているか、その上で指示どおり動けているか等も重要となります。こちらも考査当日の場では色んなアクシデントが起きるかもしれず、慣れておく必要があります。家ではできていたのに本番でモジモジしたり泣き出してしまったり、逆にムダに盛り上がり過ぎて悪目立ちしたり。同じグループに自由にしゃべったり動き回ったりする元気ハツラツすぎる子がいて、その子の影響を受け一緒に楽しんじゃって減点される、なんて目に遭ったら最悪です。。

 

インプットは自宅でコツコツ地道に特訓できますが、アウトプットは実践あるのみ。しかし、家庭内だけで本番環境をつくるのは至難です。その点、教室は日頃から模擬環境が整っており、集団の中で本番さながらの緊張感に慣れさせるよう努めてくれます。

 

4. 情報力に長ける

志望校に関する情報量が豊富であることはもちろんなのですが、お受験教室の真価は情報量だけではなく、その質にこそあると感じます。過去問の分析にもとづいた予想問題集や学校別模試は定評があります。

 

あと個人的に少し意外だったのが、(教室によって差はあると思いますが)校長先生や教頭先生とのお付き合いがきちんと存在しているということ。わりと定期的に相互にコミュニケーションをとっている印象を受けました。その年のパンフレットが完成すると校長先生自ら主要な教室に持参してまわるなんてことも珍しくないそうで、トップセールスに余念がありません。それだけ学校も応募者確保に緊張感をもって取り組んでいるという表れなんでしょうね。

 

ある校長先生なんて教室に1人でやって来てスライド用のPCも自分でセッティングし、1時間みっちりと出張学校説明会をされていました。特定の教室だけに“特別”な情報を持ち込むことはありませんが(教室で話されたことは、公式な学校説明会の内容と基本は同じでした)、保護者10名程度なので質疑応答もしやすかったですし、どんな質問にも真摯に回答される校長先生の姿から実直な人柄が伝わってきて、学校の理解がより深まりました。

 

ちなみに受験の合否に関して、特定の教室の生徒が優遇される?といった噂があるようですが、これは噂なだけで事実ではないと思います。教室によっては学校に受験者リストを提出しているケースもありますが、それが合格に有利に働くという効力はないだろうと。

 

ウチのケースを紹介しますと、試験の1週間前くらいに教室の先生から、受験する学校側に「この教室に通っている者であること」と「御校が第1志望であること」の2点を伝えていいですか?と事前に相談を受けました。何の支障もないので(むしろ後者はプッシュしたいところ!)イエス返事したわけですが、先生からはこのことを伝えたからといって合否には関係ないんですけどね、と言われました(あったとしても堂々と言えるわけないですがw)。まぁ僕としては1種のお守り程度に受け止めました。

 

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以上、お受験教室のメリットを挙げました。もちろん家族がランナーとして主体性をもって団結しながら走ることは当然ですが、長い距離を孤独に走る身にとって、やはり教室は頼りがいのある伴走者だと思います。

 

では、自分にあった教室をどうやって探したらいいのか?

後編では、教室選びのポイントについてお伝えします。わが家がお世話になった伸芽会についても紹介しますよ~。

Vol.2 公立小の長所もお忘れなく

前回は、わが家が私立小受験を決めたきっかけについて紹介させてもらいました。そこでも触れましたが、受験を決心する際には「私立を過大評価」「公立を過小評価」していないか、冷静に考えるよう努めました。私立だけを見すぎるあまり、公立の良いところをきちんと見ないまま盲目的にお受験を選択してしまい、後になってから悔やむなんてことになるのは避けたいものです。

 

学校説明会や授業体験の段階に進むと理解が深まり、志望の思いは一層増していくものですが、そのモードに入る前段階、言わばフラットな状態で、公立についても冷静に認識しておくことは大切に感じます。そこで今回は公立小という選択肢について、少し掘り下げて考えてみます。

 

< 私立小に通う子は全国の約1% >

本題に入る前に、私立に対する1種の風評(?)について軽く触れたいと思います。

僕も妻も公立小学校に通いました。振り返ってみて何の不満もなく、充実した教育を受けることができたと今でも思っています。でも、それは比較対象を知らず相対化できないゆえの実感でもあります。自身や身内が通っていたという方を除いて、私立小学校の実質的な中身を知る機会はなかなかありません。

 

全国の小学校における児童総数は、2019年で約637万人。そのうち私立小に通う児童数は約7.8万人。全小学生の約1.2%に過ぎません(文部科学省 学校基本調査より)。いわばマイノリテイな存在で、世間一般から見て私学教育の中身とその効果をうかがい知る機会は乏しいのが現状です。見えている部分だけで捉えて偏った映り方に陥る傾向が、未だに残っているのではないでしょうか。

 

たとえば、僕が小学校受験のことを親しい友人に明かした時の反応は大体こんな感じ。

 

・「金持ちやな~」「ブランド志向やな~」

・「内部進学狙い? でも大学受験は経験させた方がいいでしょー」

・「過保護じゃない? 温室育ちは社会に出てから通用しないよ」

 

親友ゆえに深い他意はなく感じたままを口にしたのだと思いますが、いずれも見事にネガティブ(笑)  だから「お受験します」なんて言い出しにくいんですよね。かく言う僕自身、少なからずこういった感想を以前はもっていました、はい。。

 

もちろん世間からどう見られるか過度に気にする必要はありません。受験必死モードに突入すると、大げさかもしれませんが一般社会と断絶状態で邁進することになり、いずれにせよ外野の視線にかまってなどいられない境地に達しますし(笑)。ただ、一部世間からの風評が待っていることをある程度理解してのぞむ方がいいかもしれません。志望動機もより揺るぎないものになるでしょう。

 

< 公立の利点も見る >

さて本題。前回も触れましたが私の場合、公立ではダメなの?という考えも併せもちながら慎重に受験を選択しました。実際に近所の公立小の公開授業にも足を運び、妻と校舎内をじっくり見学しました。その時に感じた公立の魅力は主に以下のとおりです。

 

■ 公立のメリット

1.多様な価値観をもった家庭で育った子ども達と触れ合える

学校での学びは何も授業だけではありません。小学校は本格的な人付き合いデビューの場でもあります。いろんなタイプの友達を知ることは、コミュニケーション力を磨いていく基盤になるのではないでしょうか。私立の場合、その学校の理念や教育方針に賛同して集まってきた家庭同士なので、多少なりとも共通点が見られると思います(もちろん細かくみれば十人十色ですよ。あくまで教育環境に関して大雑把にみた話)。それに対し、入学に何のフィルターもかかっていない公立の方は人間模様に幅広さを感じます。

 

2.友だちが近所にたくさんいる

これは容易に想像できますね。私立のように遠方から各々通ってくるのと異なり、公立ではクラスメイトが近所に住んでいるので遊び仲間に事欠きません。親同士も幼馴染だったり近所づきあいが長くて仲良しというケースも多いでしょうし、家族ぐるみで休日にキャンプにいくなんてケースもあるかもしれません。距離というものは交友関係を深めるにあたってバカにできない要素だと思います。また将来に渡って親交が続く場合もあります。たとえば成人式の時に地元友人が少ないと少し淋しい思いをするかもしれないですね。

 

3.地域社会との親和性に富む

選挙の投票会場になったり、盆踊り会場になったり、夏休みの朝の体操会場になったり、または緊急時に避難所になったり。公立小学校はその地域の行事やイベントの場として活用されています。いわば地域に根差し、人々の生活に馴染んでいる存在。地域社会コミュニティによる相互扶助の関係が薄れてきた現代において、こうした地縁性をとどめている場はやはり貴重だと思います。

 

 

どれも当たり前やんと思われる内容かもしれませんが、私立と比較するとその相違点がクッキリ浮かび上がります。費用の比較は言うまでもないので割愛しましたが、コスパという点も無視できません。私立と公立の学校教育費は15倍近くの開きがあるケースも散見され、あらためて驚かされます。。

 

もちろん、何をもって良しとするかは家庭ごとのお考え次第でしょう。特に1については、だからこそ私立に行かせたいと考えるご家庭もいらっしゃると思います。大事なのは、自分の尺度で測ってあらゆる選択肢を充分に確認し、納得のいくまで検討することです。

 

わが家の場合、最終的に受験校数は最小限に絞り(2校)、万が一どちらの志望校にも合格できなかった時には胸を張って地元公立に通おうと決めていました。少なくとも、妥協して志望度の低い私立の後期募集にすがるよりは、公立のメリットを十二分に享受しよう、と考えるようになりました。

 

第1志望校というのは特別な存在です。ひとつの恋愛と呼べるほど熱望するわけですから、その分もしも不合格に終わってしまった場合に被るショックは相当なものです。何より、子ども自身を不要に傷つけて自信を奪うことになりかねません。かといって、大学受験と違って浪人という選択肢はないわけですから、気持ちを切り替えて公立に進学するしかありません。そんな時に、公立小に対して一貫して肯定的なまなざしを持ち続けていれば、きっと気持ちの整理もつきやすいんじゃないかと思います。

 

< 長い学習人生を見据えて >

そもそも合格はゴールでなくスタートです。そして、私学教育は数ある手段のうちの一つに過ぎません。手段自体を切り離してその是非を議論しても答えは出ないと思います。ハサミとカッター、切る道具として優れているのはどちらかと問われれば、切り絵に使う人にはハサミ、スクラップに使う人にはカッターとなるわけで、まず目的があってそれに適した手段かどうかが議論されるべきです。

 

進学についても同様で、各家庭の教育に対する価値観や方針に応じて何が正解かは様々だと思います。もっというと、正解かそうでないかなんて、ずっとずっと後に振り返ってしか分からないこと。

 

そしてこれだけは断言できます。合否如何に関わらず、お受験を通して磨いた『学習態度』は一生モノです。勉強ができる子に共通する資質は、知的な能力よりも学習態度に要因があるという研究結果があります。これは学校任せでは育まれず、家庭で養うべきもの。早い時期に学習態度が備わった子とそうでない子とでは、同じ授業を受けても吸収量に開きが出るといいます。幼少期に学習態度を養うことは、その後の学習人生(個人的には死ぬまでそうだと思っています)にとてつもない影響をもたらしてくれるハズです。

 

わが家は幼稚園時代から毎晩欠かさず本の読み聞かせを続けていますが、小学校に入ってから娘はスムーズに読み書きの勉強に取り組んでおり、(今のところは)読書好きで作文好きです。このまま本好きに育ってくれればいいなと願う次第です。

 

家族で団結して学習に取り組んだ経験は、それに応じたギフトを贈ってくれると信じたいものです。そして、それは私学・公立は関係なく、あくまで親の気持ちひとつで始められることなんだろうと思います。

 

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■ オマケ

ちなみに冒頭の児童数の推移データですが、全体はこの40年ほどの間に毎年1.5%くらい減少し続けています。1.5%と聞くと大したことないように感じますが、僕が小学校入学した頃に1,200万人いたのが現在は半減しているわけで。うん、リアルがちで少子化

一方、私立小の児童数は直近10年は小刻みな増減を見せつつも、長いスパンで捉えると緩やかな増加基調にあります。継続的に大学の付属小・系列校が新設されてきたことが背景にあるのでしょう。今後も私立児童のウェイトはちょっとずつ上昇していくと思われます。

Vol.1 私立小を受験する動機とは

『小学校お受験のミカタっ!』にお越しくださり、どうもありがとうございます。

 

このブログは2019年に私立小学校を受験した経験をもとに、アレコレ申し述べようと思って始めました。僕は教育関係者でもなければ私学盲信パパでもない、どちらかというと子どもの教育にあまり熱心ではなかった部類、いわば受験の素人。

 

ゆえに何事も手探り状態の中で苦労したわけですが、だからこそ感じた素朴な疑問、苦労や葛藤について、できるだけ具体的にお伝えできればいいなと思います。現在、年中・年長になる幼児がいらっしゃるご家族、そして実際に小学校受験に向かって真剣に取り組んでおられる皆さんにとって、少しでも参考になれば幸いです。

 

1稿目となる今回は、わが家なりの受験のきっかけを紹介しつつ、子どもを私立小に行かせる動機って何だろう?ということについて書きます。

 

 

< 起点にして基点となるwhyとwhat >

受験を決意されるタイミングって、各家庭ごとに様々だと思います。ウチが通ったお教室に限って言うと早い子で年小からバリバリ、大半の子は年中にあがったタイミングで教室に通い始めたというケースが多かったですね。わが家の場合は年中の終わり頃、2月から通い始めました。入試が9月実施だったので実質8ヶ月間。それ以前から通信教育をやったり、めばえ教室に通ったりしていましたが、お受験のための学習という意味でアクセルを踏んだのはこの時期。のんびり発進ですw。

 

最初の頃は周りの子たちと比べると出遅れ感たっぷりで、焦りまくりでした。追いつけモード全開の当時は「どんな勉強や経験をさせるか(= how)」で頭がいっぱいで、受験の動機を掘り下げる余裕なんてなかったというのが正直なところです。もちろん、きちんと夫婦で話し合った上で受験を決心したわけですが、1回決めたらアレコレ悩むのはおしまい、あとは突き進むのみという感じで毎月こなしていった観が強いかなー。

 

日々大量のプリント消化に明け暮れ、模試の結果をみては焦燥感にかられ苦手克服の対策講座と問題集を追加投入。それでも当の本人のやる気と成績はなかなか上がらず怒鳴りながら机に向かわせる日々、次第に親も子も疲弊。終いには「受験なんてするべきじゃなかった!」と爆発しそうになる妻をどうにかなだめる。そして、“日々大量の~”のくだりに戻る。この無限ループ(笑)。

 

いま思えば時々立ち止まって、『そもそも何のために、こうして頑張ってるんだっけ?』と頭を整理していれば、もう少し精神的な安定を得られていた気がします。

 

「受験を決めた動機(=why)」「私学教育の何に良さを見出したのか(=what)」の2点についてもっと掘り下げるべきだったなーと。特に願書提出や面接対策の段になって、言語化するのに苦労しましたw。

 

< なぜ受験するのか >

ところで一般的には、どういったお考えのもとに受験の思いを固められるものなのでしょう。以下、代表っぽいモノを並べて分類してみました。超主観ですがw

 

  • 将来の受験勉強をスキップさせたい派

思惑> 中学受験や高校受験、もしくは大学受験を回避させたい。12年もしくは16年一貫教育を受けさせたい。大学受験よりは競争倍率がマシな小学校の段階でエスカレーターに乗り込ませたい、など。

 

このタイプに共通するのは、将来を見据えて教育プランを早々に立て然るべき軌道に乗せたい!、ということではないでしょうか。受験勉強にとられる時間を別のことに存分に充てさせてあげたいとお考えの家庭もいらっしゃるかと。

 

  • 創立の思いや教育理念に共感している派

思惑> その学校が掲げる方針に賛同している。自分自身が卒業生(系列の大学も含めて)もしくは上の子が在校生で、学校のことをよく理解している、など。

 

自分の出身大学に誇りをもっているお父さんお母さんにとっては、大学付属の小学校に志望するというのも大きな理由になるかもしれませんね。ましてや自身や家族がその小学校の卒業生ならなおのこと。

あと、宗教校の受験者もこういったタイプが多いでしょう。

 

  • より充実した教育環境・設備を希望する派

思惑> 施設が綺麗で新しくて教員の配置数も手厚い、充実した環境下で学ばせたい。公立にはない独自カリキュラムを受けさせたい、など。

 

そりゃ誰だってピカピカの最新設備が整っている方がいいに決まっているでしょうけど、公立と私立では費用面の条件が大きく異なっているわけで、単純に比較しても仕方ありません(お金の話はひとまず割愛、別の機会に取り上げます)。大事なのは中身と価格との見合いにおいて、価値をどう評価するか。

 

たとえば個人的には今回のコロナ渦の状況下、娘が通う学校の臨機応変な対応には非常に納得感を見出しています。オンライン授業に必要な機器と環境を整え、柔軟にカリキュラムを修正しながら休校中でも本来あるべき水準を維持されていました。

また、今年から公立でも英語授業がスタートしましたが(3年生以上)、やはり先行して実践してきた私学に一日の長を見出す方も多いのではないでしょうか。インターナショナルスクールは最たる例でしょう。

 

  • ブランド信仰派や公立軽視派

思惑> 親のエゴ、見栄、優越感からくる心理的な動機。もしくは、公立に対して根拠のない不安や不信感を抱いている、など。

 

まぁこの理由だけで受験する人はいないと思いますが、、、

 

 

ざっと挙げましたが、もちろん他にも様々な動機が存在すると思います。どれが正解でどれが間違いということはないでしょうし(4つ目は論外として)、答えは複数あるかもしれません。受験する・しないに関わらず、親はわが子に対し「将来こんな大人に育ってほしいな」という願いや希望を抱くわけでして、受験の動機が自分たちの描く将来像にちゃんとつながっていれば、それが正解なのだと思います。

 

問題があるとすれば、そのための手段として私学教育がベストなのか、このマッチング部分です。つまり前出のwhatに該当する部分。

 

根拠もなく私立を過大評価(または公立を過小評価)してしまっていないか、僕自身けっこう自問しましたね。公立ではダメなの?と。

最初から私学一択!という家庭は別ですが、わが家のように進学についてゼロベースで検討する場合、ここが一番大きな分かれ道ですね。

 

そもそも私立と公立を一元的に比べて良し悪しを議論しても不毛でして、どっちにも一長一短あり、得手・不得手があります。当然ですけど。どちらの利点をとるのがウチに適しているのか。僕はベストよりベターな解を見つける姿勢を心がけました。

 

最初の頃は圧倒的に知識不足でしたし、誤解や思い込みも多かったのですが、可能なかぎりたくさんの学校の資料を取り寄せ、説明会や公開授業などに参加するにつれて(公立小の授業も見に行きました)理解が深まり、結果的に自分なりの尺度が磨かれたと感じます。

 

ただ、このように走りながら考え決断するのであれば、ちょっとスタートが遅かったかなという後悔はありますね。。。学校研究は早い方がいいですよー。

 

< わが家の場合 >

さて、ここまで大層なことを述べてきましたが、ではウチはどういった経緯で受験するに至ったのかと申しますと。

 

きっかけは移住問題。僕が新しい仕事を始めるに伴い、東京から大阪へと職場が移ったことに端を発します。仕事というのが家業に関することでして、もともと長男の僕が、祖父が一人でやっている事業を引き継ぐという既定路線が(半ば勝手に)敷かれていたのですが、祖父の逝去によっていよいよ執行猶予が解け、東京でのリーマン生活に終止符を打ち大阪の実家に戻らなければならない状況となりました。

 

動揺したのは、江戸生まれ江戸育ちの妻。

「やっと幼稚園にも慣れてきたのに、いきなり見知らぬ浪花の地に移り住むにはまだまだ心の整理がつきませぬ、わらわは行きませぬ。」

「どうしても行きたければ其方独りで行けばよいのでは? これまで通り参勤交代しなされ。」

ということでひとまず住まいはそのまま、僕だけ大阪と東京を往来する東西半々生活を続けました。

 

しかし平穏は束の間。半年ほど経ったある日、今度はしびれを切らせたウチの母がこう言い放って事態は緊迫化していきます。

 

「そろそろ大阪に移り住んだ方がええんちゃうのん!?」

「早く●●ちゃん(=うちの子ども)と一緒に住みたいわ!」

「その方が家賃も浮くやろう!? よっしゃ、リフォームしよか!」

 

実家の半分は祖父母の住まいでして、そこが空いていたのです。同居同然となるこの要望が唐突に宣言されたことで、問題は新たな次元へ。

 

ウチの母は典型的な大阪のオバチャン。こちらのペースなんてお構いなしにゴリゴリ攻めこんできます。そうなると妻は

「百万歩譲って浪花に移住したとして、いきなり二世帯同居は厳しいでおじゃる。良い嫁姑関係を維持するには、味噌汁の冷める距離を保つのが理想でおじゃる。」

と、のたまふわけで。加えて、ウチの地元小学校が学級崩壊しているとの噂を耳にして(このご時世でも児童数が増えていて先生の数が追いついておらず、実際に保護者の中には先生のキャパオーバーを心配する声が挙がっていた)、妻の腰はテトラポッドのごとく重くなる一方。

 

妻とウチの母はいたって良好な関係でしたが、それは大阪と東京という距離が奏功していた側面もあると思います。やはり二世帯同居なんてことになれば、ただでさえ気遣いするタイプの妻がのびのび暮らすことは難しくなるのが容易に想像できます。一方、頑なに真正面から同居反対の姿勢をとると、僕自身は母にズケズケ言えますが、それが母からすれば妻に言わされていると邪推しかねず、後々禍根を残す可能性も否めない。。。

 

こういった板挟み状態の中で僕が出した解決策が、私立小受験です。これにより、多少は妻の不安が和らぐことが期待できました(まぁ大阪に対する偏見でしかないのですが、東京育ちからすれば異国の地へ旅立つが如く受け止めていて、説得できる自信はありませんでしたw)。

 

僕としても大阪~東京の往復生活が永遠に続くのはゴメンですから、何とか妻にはその気になってもらいたい。子どもともっと一緒に過ごしたいですし(←これが一番の理由)、移動にかかる余計な出費も減らしたかったですし。また、母に対しては通学の便を優先して住む街を選びたい、という大義名分ができます。

 

まさに三方よし! 完全に大人の事情にもとづいた次善の解! 見事に打算的ですね(笑)

 

もちろん子どもの将来を想う視点もありましたよ。前述の分類でいうと2)学校創立の思いや教育理念に共感している とか、3)より充実した教育環境・設備を希望する など。ただ、それは後から強まった動機。受験を決めてから色々と調べたり学校研究する中で膨らんでいきましたが、家族平和を想って突き動かされるようにして決意した、というのが僕の受験の出発点ですw

 

小学校受験の意思決定者は親 >

こうして始まったわが家のお受験。動機の良し悪しはあまり考える必要はないと思いますし、子どもの将来と小学校受験の意義を十分に考えた上での選択であれば、胸を張って前進あるのみです。僕自身、小学校受験に対して後悔の気持ちはまったくないですし、日々成長を温かく見守りながら、受験して良かったとしみじみ思います。また、受験を通して親である自分たちもたくさんの学びや気づきを得たことも大きな財産です。

 

 

最後に一つ言いたいこと。

それは小学校受験は親が意思決定者ということです。受験というのは中学・高校、そして大学に進むにつれ本人の意思が優先される度合いが増していくものですが、小学校に関して言えば受験の要否から志望校選びに至るまで、完全に親が決めます。

なので成長したわが子にいつか受験理由を尋ねられた時に、胸を張って答えられるようでありたいものです。まちがっても自分のミエのためよウフ、とは言えませんw。

 

ではまた~。