小学校お受験のミカタっ!

アラフォーパパ、私立小あれこれ体感中

Vol.6 子の将来像について考えてみる

小学校受験を考える上で、志望校選びがいかに重要であるかは言うまでもないと思います。選択した学校によっては子の16年間を決定づけるインパクトがあるだけに、長期的なビジョンにもとづいた判断が求められます。

 

子の将来像を描かないまま小学校受験を何となくスタートさせてしまい、志望校を明確にしないまま日々の勉強だけに没頭し、模試結果に照らし合わせて妥当な合格ラインの学校へと何となく絞り込んでいくという『時の流れに身をまかせ方式』では、長期的な視点も何もあったものではありません。

 

 面接や願書を書く際には教育に対する各家庭の考えが問われますが、こちらが志望校の理念や教育方針に合わせて「置きにいく」のではなく、前もって決めておいた自分たちの「あるべき教育の姿」に照らし合わせ、マッチしていることを確認した上で受験するのが理想ではないでしょうか。そのためには、まず家庭が大切にしたい子の将来ビジョンや教育方針ありき。

 

学校のカタログやホームページは、独特のカッコイイ語句(建学精神とかによくみられる)や装飾された言い回しが含まれがちです。それらをそのまま受け入れてしまう前に、自分の言葉で教育の理想像を描いておくとお化粧言葉に惑わされませんし、複数の学校を併願するとしても一貫性のある学校選びができると思います。

 

ビジョンとか方針なんて言うと大袈裟に聞こえるかもしれません。僕もそれまで真面目に考えたことがありませんでした。明るく楽しい家族でいられたらいいなエヘ、くらいにしか思っていませんでした(笑) だってテーマが壮大だし、初めての受験で右も左も分からへん!と自分に言い訳。。。

 こうなればいいなと思ったところで、ではそのためには具体的にどんな方法を子育てに採り入れたらよいのか、見当がつきませんでした(当たり前ですが。みんな最初からノウハウもって子育てするわけじゃないのにw)。母親は子をおなかに宿した瞬間から母親になるが、父親は生まれてきてからやっと父親であることを自覚し始める、とはよく言ったもので、妊婦時代から本やネットで情報収集を続けた妻に対し、だいぶ遅れて慌てて学び始める僕。なんかスイマセン、、、

 

 

< 読んで書き出してみる >

というレベルだったので、まずは評判の高そうな本を数冊手に取り、子育て論の体系をつかむところからスタートしました。内容が偏らないよう、お受験に特化したものだけでなくタイプの異なるものも選ぶようにし、その中から共感できる部分や気になったフレーズをどんどんメモに残していきました。それをもとに妻と意見を交わし合って共通する価値観を確認していくうちに、おぼろげながらわが家の教育ビジョン(のようなもの)がかたまっていきました。メモ自体は全然整っていなくていいと思います。書き出すという作業自体、頭の中の整理にも役立ちます。

受験準備が進むにつれ、自分の理解が深まったり次々と新たな情報が加わったり。付け足しと修正を繰り返しながら磨かれていきました。最終的にその中から凝縮されたエッセンスを言語化し、面接や願書で伝えていくこととなります。

 

いろんな本を読み漁りましたが、特に『世界標準の子育て』(著/船津 徹)からは多くの示唆を得ました。グローバルに活躍するエリートに育てたい!という野望は皆目ありませんが(そういう趣旨の本ではありません)、とにかく分かりやすい。一般的に子育てには正解はないと言いますが、子どもの発育段階に応じて親がすべきことを体系化して示してくれていると思います。さほど目新しさはないですが、僕のような入門者には満足感を得られる内容になっているかと。

 

もちろんご家庭ごとで教育の価値観は異なりますし、人によっては参考にならない部分も多々含まれていると思います。僕はこの本の内容そのものを万人に薦めたいのではなく、志望校を決めるよりも先に自分自身の指針をもつことの大切さを説いているわけでして。最近あらためて読み返したのですが、合格をいただき現在通っている小学校の指導指針が、言葉や表現こそ一部違えども、かなりこの本の主張と重なっていて驚きました(まぁ、教育における普遍的なことが書かれているので、どんな学校でも何かしら共通部分は見いだせるのかもしれませんが)。

 

当時のメモをそのまま公開します。

※ 様々な本の寄せ集め、しかも自分向けの文章なのでまとまりに欠ける乱筆である点ご容赦ください

 

 

 

【 子育てについての雑記 】

・世界標準の子育て3条件

加速する情報革新の影響で、娘が社会に出る頃は世の中の変化に適応できる人とそうでない人の差はますます広がっている。変化に適応できる子が育つ条件は3つ。

  • 自信  = 心の強い子
  • 考える力  = 勉強ができる子
  • コミュニケーション力  = 人に好かれる子

 

・強い心は持って生まれる資質ではなく、親が与える後天的なもの

子は成長するにつれ壁に当たるのが世の常、立ち止まることも多々あって当然。肝心なのは走り続けることよりも走り始め続けることであり、困難に負けない強い心を養うこと。

 

・6歳までは「根拠のない自信」を育てよ

根拠のない自信とは、「自分は親から受け入れられている」「愛されている」という自信のことであり、そのことで「自分は価値ある人間だ」と思えている状態。根拠のない自信は、100%親から与えられるもので、幼少時に親からたっぷり愛情をもらうことでのみ得られる自信。根拠のある自信は小学生に上がって以降、子供自身が獲得するもの。

根拠のない自信はピラミッドでいうところの1段目みたいな存在、この上に積み上げていく勉強や人間関係などの土台なので、これが不足していると知識や技能を習得すればするほどグラグラ揺らぐ(=困難があった時に挫折しやすく、プレッシャーに弱い子になる)。

 

・納得できる理由を添える

子を受け入れるといっても時に叱かることも必要。では、自信をつぶさず躾けるにはどうすればよいのか? そんな時は、なぜその行動をしてはいけないのか言葉を尽くして丁寧に説明してあげることが大切。頭ごなしに「ああしなさい、こうしなさい!」という命令口調は×。そもそも子供は周りに迷惑をかけて成長するもの、ぐらいに親は考えておいた方がいい。頭ごなしに「迷惑かけるな」と正していたらキリがなく、ずっと怒り続けて負の連鎖から抜け出せない。もちろん放任もダメだが、子供の言い分を一旦受け入れる姿勢を示してあげるだけでも、自尊感情を損ねずに済むかも。「うんうん、気持ちはわかるよ。でね、~」といった前置きを深呼吸がわりにする。

 

・幼児が反抗する背景

幼児のイヤイヤ期は、「自立したい自分と、お母さんから離れたくない自分との葛藤」によるもの。3歳過ぎるあたりから、身のまわりのことを自分でできるようになってくることで自立心が芽生えてくる。と同時にお母さんから離れることに寂しさも感じており、この2つの気持ちがぶつかってイライラし、反抗的な態度へと子供をかきたてる。この子供の心理を理解してあげると、親も冷静になれる。

 

・根拠のない自信を育てる最高の方法① スキンシップ

肌と肌のふれあいは、愛情の実感を伝える最適な手段。特に躾で厳しい言葉を口にしないといけない場合、その前にスキンシップで心を満たした状態にしておくと効果大。逆に不安定な状態の時に躾すると失敗する。抱っこしながら、目をみて教え諭すのも有り。

 

・根拠のない自信を育てる最高の方法② お手伝いを活用

子供に簡単なお手伝いを丁寧な言葉で頼み、子供ができたら「手伝ってくれて助かったよ、ありがとう!」と、抱きしめて感謝の言葉を伝える。子供は成功体験を積むと同時に、親からのスキンシップと感謝のダブルパンチで、自信を強めることができる。子育て上手な家庭は、子供に頻繁に手伝いを頼み、成功体験のインプットを積み上げている。注意点は、お手伝いの出来不出来について、とやかく言わないこと。

 

・根拠のある自信の育て方

小学校に上がる7歳からは、根拠のある自信づくりに取り組む時期。これは親から受け取るものではなく子供が自ら努力して獲得するもので、競争にもまれながら継続していくことで習得できる。競争ときくと賛否両論かもしれないが、少なくとも課外活動における競争は子の健全な成長にとって必要なプロセスと捉えるべき。競争の目的は2つ。

  • 競争を通して自分の「強み」に気づかせるため
  • 困難に立ち向かう力、プレッシャーの中で実力を発揮する力といった「たくましい心」を育てるため

強みを伸ばせるような習い事をさせるとたくましく成長するもの。とはいえ、小学生の子供が自分で強みに気づくことはまずない。親がわが子の個性や身体能力にあった習い事を見つけてあげる。

 

・勉強だけで根拠のある自信を養うのは厳しい

試験勉強は誰もがすること(しなければならないこと)なので、上に進むにつれ競争相手が広がり、井の中の蛙だったことに気づかされるといった厳しいケースも。勉強だけを拠り所とした自信は脆く崩れやすいので、「勉強以外」のことにも強みを見出しておくと安心。アメリカでは地域のチームスポーツに入れるのがポピュラー、技術は二の次で真剣に競い合うことの面白さを体験させている。同じ習い事を10年続けると特技へと昇華され、自信は本物になる。仮に一番になれずとも10年真剣に続けたという事実が根拠となって、挫折や逆境に粘り強い人間になる。

 

・女の子と男の子で育て方のアプローチは違う

男の子はおだてて育てる、女の子は手本(型)を示して育てる、が基本。女の子は男の子よりも人間への関心が強く観察する力が鋭く、またルール・集団の調和を好む傾向にあるので、「手本を示す」→「マネさせる」→「努力を誉める」を繰り返すと伸びる。

 

・母親と父親の役割分担

スウェーデンの父親の育休取得率は80%(日本は2%)。父親が子育てに参加することで、母親の育児負担が分散でき、精神的余裕やストレス軽減をもたらす。幼児のうちは子育てのキーマンは母親(母ならではの愛情表現、スキンシップが子を満たす)で、父親はそのサポート役(家事の雑用など)。子が大きくなるにつれ、外出して遊んだり自然に触れさせたり、いつもと異なる人と関わる機会をつくるのは父親が適任。

 

・うまい褒め方とは

×:親の言うことを聞けたから褒める = 従順を促している

〇:自分の意志で行動できたから褒める = 自立を促している

褒めるときのコツは具体的なフィードバック。さらには「こういうところがすごい。なぜかというと~だから」というように理由を添えてあげるとベスト。

 

・脱 偏差値主義

アメリカの大学の入学試験は「多様性が新たな価値を創造する」ことを信念としており、ペーパーテストの点数に加えて、社会性、リーダーシップ、創造力、コミュニケーション力などを総合的に評価して合否を決める。その根底には異なる価値観や文化を持つ者同士が意見を闘わせることで人間的な成長が生まれるという原理原則を心得ているから。偏差値主義一辺倒の弊害は、趣味や音楽といった想像力や芸術性、運動、思考力、社会性といった可視化しにくいが子供の個性となり得る立派な強みを見逃しかねないということ。

 

・子を急き立てたくなったら、「やればできる子だもんね」を口癖に

「無理~」「できない」といった消極言葉を口にする子は、これまでの失敗体験の積み重ねを引きずっていることが多い。その背景には“早くしなさい”や“ちゃんとして!”といった親の急き立てによる弊害が潜む(焦らせると余計に失敗しやすい)。親の忍耐力が試されてると捉え、「やればできる!」と言いながら気長に見守ってあげる。

 

・食べ物の好き嫌い問題の正体

子供の「美味しくない・嫌い」は真に受けてはならない。その時の気分に左右されて言ってるケースもしばしば。こんな時は食卓の雰囲気を改善してみる。自分の話を聞いてくれる、今日あった出来事をもとに自分を褒めてくれる、食事とはそんな楽しい会話の時間なんだと理解させる。もちろん食育の視点も大切だが、それ以上に温かい食卓は家族の絆を深めるという点で有用であり、幼少時の楽しい食事風景の記憶は将来に大きな影響を与える。

 

早期教育は学習習慣づくりとセットで

教育の先取りは、ある程度はあった方がよい。2,3歩も先取りする必要はないが、1歩ないし半歩先の訓練をしておくと、いざ小学校に入学した際に余計な劣等感に悩むリスクを避けられる。周囲よりも読み書きが出来るんだ、という自信がさらなる意欲を生むかもしれない。かといって詰め込み過ぎは間違い。大切なのは学習と向き合う態度の確立。

 

・受験勉強 ≠ 詰め込み教育

幼少期は自信、考える力、コミュニケーション力の土台をつくる時期。合格にばかり気をとられて子供不在の詰め込み教育に陥ると、その後の発達に悪影響。受験というプロセスを通して3つの力を伸ばすことこそ本当のゴール、と捉えて受験にのぞむ方がよい。

 

・勉強ができる子に共通する資質

勉強ができる学生は数字や図形が得意、記憶力がずば抜けている、といった知的な才能を必ずしも有しているわけではない。学力を伸ばす素地が幼少期に出来上がっているというのが、勉強ができる子に共通する条件であり、それは以下6つの学習態度で構成される。

  • あきらめない
  • 自制心がある
  • 人の話を聞ける
  • 柔軟に思考できる
  • 正確さを追求する
  • チャレンジ精神をもっている

 

・言葉の力

言葉を扱う力がなければ思考もそれなりにしか育たない。考える力を高める最高のアイテムは本。6歳までに本好きな子供に育てられれば、子供の言語教育は成功したも同然。読書を通して語彙を増やし、知識を増やし、理解力を深め、思考力を高めていくことができる。

子供を本好きに育てるために有効な手段は「絵本の読み聞かせ」。本嫌いの子に共通する理由は「おもしろくない」「頭に入らない」。これは活字からイメージする力が足りないために、ストーリーの理解や感情移入が深まらず、本の世界に入っていけないから。絵本を読み聞かせることで想像力を培い、ストーリーを頭の中でイメージ化する訓練につながる。想像力をつける前に映像メディアに慣れてしまうと、想像力を使って物事を考えるのは面倒に感じる子に育つのでテレビの見すぎは要注意。

 

・小学校入学前までに読書力をつけておく

子供がストレスなく本が読めるようになるまで最低1年かかるので、逆算すると遅くても5歳から文字教育をスタートさせることが大切。小学校1年生というのは、子供が人生で初めて勉強ができる・できないという評価を先生から下される時であり、客観的な比較によって自分が勉強できる・できないことを知らされる。「読み書きできますか?」という先生の質問にパッと手を挙げられる子は、自分は勉強ができるという自信をもつとともに、その後勉強に対して前向きな態度をもちやすくなる。

 

・表情豊かな子供は人気者になる

0-6歳の子供に教えるコミュニケーション力で大切なのが「感情表現」。感情表現が豊かな子供に育てるためには、子供の気持ちに親がどれだけ共感するかがポイント。また、子供を笑わせることも重要。いっぱい笑って育った子は快活で素直な性格になる。

 

・聞く力を育てるために、親は聞き上手であれ

コミュニケーションとは、自分の言いたいことを一方的に伝えることではなく、人と人がメッセージを伝えあうものであり、「話す」と「聞く」の2つで構成される。とりわけ子供は聞くのが苦手。話の途中で割り込む、頭に浮かんだことをすぐ口にする、人の話を最後まで聞かない、などなど。聞く力の育て方は親が良い手本を示すこと、そのためにまずは親が子供の話をしっかり聞いてあげることが大切。幼い子供は言葉や表現が足りず、文法もあやふやなことが普通だから、「早くしなさい」「言葉が間違っている」といって急かしたりすぐ訂正したりせず、ニコニコしながら最後まで耳を傾けること。時には「へぇー!」「本当?」と相槌を打ったり、「それはビックリしたね」と共感しながら聞いてあげる(終)。